話題の「ZOZOスーツ」を使って、実際に服を注文してみた

使い勝手は、意外と……
加谷 珪一 プロフィール

フルオーダーのスーツも格安価格で注文可能

データの送信が完了すると、アプリ上では3Dで表示された人体の模式図が示され、体の各部分のサイズが数字で表示される。この数値に問題がなければ、これを登録することで、その後は自分のサイズに合った服を購入できるようになる。

ZOZOTOWNのサイトより

体型に合ったプライベート・ブランドの商品は、当初、デニムやシャツなどカジュアル商品が中心だったが、7月からはカジュアル商品のラインアップを拡充すると同時に、フルオーダー・スーツの販売も開始している。

フルオーダーのスーツは細かく採寸した結果を100%活用できる商品であり、現在は「お試し価格」として2万1900円から販売している。百貨店などでオーダースーツを注文すれば10万円は下らないことを考えると、キャンペーン中とはいえ激安価格といってよい。

スーツについては人気が殺到しているのか、今、申し込んでも納期が10月頃になってしまうことに加え、筆者は職業柄、それほどスーツを着ないので、今回はパターンオーダー(完全オーダーメードではないが、各サイズの中から自分のサイズにもっとも合ったものが提供される)で、オックスフォードシャツ(3900円)とデニムパンツ(3800円)を注文してみた。

デニムパンツは即日発送が可能だったので、通常の送料200円に加え、即日配送手数料350円を支払って翌日に商品を受け取り、オックスフォードシャツは約2週間後に受け取った。パンツの総丈(ウエスト上部から裾先までの値)やウェスト、シャツの袖丈や首回りなど、気になる部分のサイズはほぼぴったりに仕上がっており個人的には満足度が高かった。

ちなみにデニムの場合、ウェスト、ヒップ、総丈については3センチ刻みで変更できるので、ヒップだけを3センチ広げるといった調整ができる。シャツも場合も同じようにサイズ調整が可能なので、パターンオーダーとはいえ、限りなく完全オーダーメードに近い使い方も可能だ。

 

先行者のZOZOが有利になる?

実際に使ってみた結果としては、かなりの経路依存性が発揮される可能性が高いとの印象を持った。人によっては、ショップを回っていろいろと試着することが楽しみとなっているかもしれないが、こうした作業を面倒と感じる人も少なくない。

筆者は明らかに後者であり、ぴったりのサイズが登録されていて、サイズの心配をせずに商品が買えるのであれば、次の買い物も同じところで済ませてしまう可能性が高い。

ZOZOは採寸スーツの開発やスーツの無料配布に100億円を投じているともいわれるが、強い経路依存性を発揮し、顧客を囲い込めるのであれば、投資資金を回収することは十分可能だろう。

あくまで一般論だが、自動採寸のビジネスは、先行した事業者が有利に展開できる可能性が高いと考えられる。後発企業がZOZOに追いつくためには、大企業の場合には知名度を武器にするか、規模が小さい場合には、採寸をさらに簡単に実施できるようなイノベーションが必要となるかもしれない。

ZOZOとしては、今のうちに一気にシェアを拡大し、先行者逃げ切りで、市場を制覇したいところだろう。

筆者はあまり気にならなかったが、自身の体型データや自宅内の撮影画像を事業者に預けてしまうことについて、抵抗感を持つ人もいるかもしれない。自動採寸が一般的になった場合、データ漏洩といった問題が発生する可能性もある。

すべてのITサービスに共通の課題だが、どこまでデータを預けて良いのかは、自分自身で判断するしかない。