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びっくり!「海女さんの血管年齢」は実年齢より10歳も若かった

現役121人を調査してわかった1つの真実

海女さんはなぜ、元気なのか?

伊勢の海女の 朝な夕なに 潜くといふ 鮑の貝の 片思(かたもひ)にして

『万葉集』 巻十一 二七九八 作者不詳

万葉集にも詠まれた日本の海女。その歴史は古く、3000年以上に及ぶともいわれている。

しかし、残念ながら、いま海女さんも後継者不足に悩まされている。2013年、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』が大ヒット。にわかに海女さんに注目が集まり、一時期は「美人すぎる海女さん」と騒がれた若い海女さんもいたが、それはほんの一握りだ。

昨年、鳥羽市立海の博物館が鳥羽市と志摩市の海女さんに対して行った調査でも、その平均年齢は65.7歳。最高年齢は、じつに85歳だったという。

そんな海女さんたちを見ていて、ある疑問が浮かんできた。

海女さんは、アワビやサザエ、ウニなどを獲るために水深3、4mの海底まで潜り、長ければ50秒近く息を止めているという。なかには水深20mの海底まで潜る海女さんもいるというから、相当なハードワークに違いない。失礼ながら、平均年齢60代半ばの女性たちが、どうしてそんなしんどそうな仕事を軽々とこなせるのだろう?

「血管年齢」ってなに?

ブルーバックス探検隊は今回、その海女さんたちの血管年齢を測定した人物がいると聞き、その人のもとを訪ねた。産業技術総合研究所 人間情報研究部門 人間環境インタラクション研究グループの菅原順さんだ。

菅原さんは、どうしたら国民が健康の維持・増進を図れるのかを日夜、考えている研究者。特に、心血管疾患の発症予防をテーマとし、動脈硬化の程度を測定する方法や評価機器の開発、発症予防のための効果的な手法の探索などに携わっている。

海女さんの血管年齢を測ってみたのも、その一環だ。でも、もしかしたら海女さんがいくつになっても素潜りを続けられる秘密も、そこに隠されているかもしれない――。

早速、話を伺ってみた。そもそも「血管年齢」ってなんですか?

【写真】菅原 順 さん
  菅原順さん

「動脈硬化には、2つのタイプがあります。細い血管が詰まるタイプと、血管の壁が硬くなるタイプです。前者はアテローム性動脈硬化とよばれ、おかゆのような隆起物であるアテロームが血管の内壁に付着し、血管が細くなることで目詰まりを起こすものです。やがて、脳梗塞や心筋梗塞につながります。動脈硬化というと、一般的にはこちらのイメージのほうが強いかもしれません。でも、我々がターゲットにしているのは、後者のほう。つまり、血管の硬さそのものです。

【図】アテローム性動脈硬化の進行
  アテローム性動脈硬化が進行するようす

血管は一般的に、年齢が上がるにつれて硬くなっていきます。多数の健常者の測定データから、『血管の硬さの指標がどの程度だったら何歳に相当する』というかたちでフィードバックしているのが、いわゆる『血管年齢』です。血管が硬くなるほど心血管疾患のリスクが上がり、年齢とともにそのリスクはどんどん大きくなります。どの程度のリスクを抱えているかを知る目安が、『血管年齢』というわけです」(菅原さん)