8月22日 伊藤清博士がガウス賞を受賞(2006年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

この日、マドリードで行われた国際数学者会議において、数学者の伊藤 清 博士(1915-2008)が第1回ガウス賞を受賞しました。

 

ガウス賞は国際数学連合(IMU)とドイツ数学者連合が創設した賞で、数学の応用的な研究に対して授与されるものです(同時にフィールズ賞とネヴァンリンナ賞の授賞式も行われます)。

ガウス賞は、カール・フリードリッヒ・ガウス(Carolus Fridericus Gauss、1777-1855)の生誕225周年を記念して設けられました。メダルには、ガウスの肖像と、小惑星セレスの軌道を最小二乗法の改良により突き止め、いったん見失われたセレスを再発見に導いたことに由来した意匠が彫られています。

【図】ガウス賞メダル
  ガウス賞メダルの概略図 裏面の曲線はセレスの軌道を、円は小惑星を示し、正方形は最少二乗法にちなんでいる

伊藤博士は、金融工学の分野で有名な「ブラック-ショールズ方程式」にも応用されている確率微分方程式の基礎を築きました。

博士が考案した『伊藤の補題』は「ピタゴラスの定理以外で、これほどよく知られ広く応用されている数学の成果は思いつかない」と言われるほど重要なものなんだとか。

従来、方程式で表現することができるグラフは直線もしくは規則性を持つ曲線のみで、まったく規則性のないランダムな曲線は、方程式で表すことができなかったということですが、『伊藤の補題』は微積分に確率論を導入することで、規則性のない曲線を方程式で記述することを可能にしました。

しかし、伊藤博士は、経済学分野への興味はそれほどなかったそうで、ある経済学者の集まりに呼ばれた際に、その熱烈な歓迎ぶりに当惑したという逸話が残っています。

どうやらわたしたちも知らず知らずのうちに、この数学の恩恵を受けているみたいです。