佐藤さんと鈴木さんを全員合計しても、日本人の4%に満たなかった

名字に見る日本文化・社会現象の多様性
笹原 宏之 プロフィール

同じ戸籍の中にある家族においてさえも、字体が異なる事態まで生じている。また、姓の「荒」は「亡」の部分が縁起悪いから「●※3」と祖母が書くのをまねしている、という学生もいた。

あらい※3「あらい」

「渡辺」の辺(邊、邉など)、「斎藤」の斎(齋など。斉〈齊〉は別字)は、異体字がそれぞれ200種、100種ほどある。

サイトウのサイの字実際には複数の業者によって電子化された、あるいは手書きのまま残された「斎」の異体字は、100種類を超える。
出典:NHK「日本人のおなまえっ!」2017年4月13日(筆者監修)

もとは単なる書き間違いであったとしても、一族や一家のアイデンティティーと感じる人が増えている。「斉藤」と書いてナカジマと読ませる人までいるそうだ。

姓名の読み方は実は自由に変えられる。「中島」も、「中嶋」「中嶌」などバリエーションが豊富だが、その読みも東では「なかじま」、西では「なかしま」となる傾向がある。

こうした各レベルでの細分化が、時代ごと、地域ごと、さらに一族、家族、ついには個人ごとになされるのが日本なのである。

消える姓も新設される姓も

近年、議論されている夫婦別姓だが、実は明治中頃までは夫婦の姓は別であることが多く、夫婦同姓は明治政府が制度として決めてから定着したものだ。

ちなみに、同姓同士の結婚は日本では問題ない。結婚によって「入口」さんが「出口」さんに、といったケースも起きる。

びっくりするような漢字が使われていることがある。「髭」姓から「鼻毛」姓に変えた人さえいた(さらに一部で改姓がなされたようだ)。

珍奇と裁判所で認められて改姓、跡取りがおらずに断絶といった理由で、消えていった姓も少なくない。一方、帰化する人たちが新たな姓を設けている。

こうした個々の状況は一般に関心が高く、テレビ番組で取り上げられるほどだが、かつてほとんどの家庭で無関心だったようで、いまだに総体が捕捉できていない。

政府も、マイナンバー制度のために多様な姓のコンピューターへの登録で、いろいろな困難に直面しているところである。

(記事提供:早稲田ウィークリー