不安定な環境の中での「円ドル相場の行方」

底堅く推移する可能性が高いが…

7月の中旬以降、米ドルが円に対して堅調に推移している(ドル高・円安)。18日の東京時間から欧州時間の序盤にかけては、約半年ぶりにドル/円が113円台にまで上昇した。ドル高を支えている要因は米国の金利上昇予測と、米中を中心とする貿易戦争への懸念の上昇に一服感が出ていることが大きい。

今後の展開を考えると、目先は、ドルが円に対して底堅く推移する可能性がある。ただ、市場参加者が夏季休暇を控えていること、11月の中間選挙が近づいていることを考えると、一方的にドルが買われる展開は想定しづらい。トランプ氏の不規則発言や貿易戦争への懸念が高まった際には、ドルが軟調に推移することも考えられる。

 

7月中旬のドル高・円安の要因

7月6日、米国政府は、中国の知的財産権の侵害を理由に、中国から輸入する818品目(総額340億ドル)に25%の追加関税を適用した。この翌週から、円は米ドルに対して下落し、主要通貨に対しても円独歩安の展開となった。言い換えれば、6日に米国が対中制裁措置を発動したことを受けて、市場参加者は、一時的に円キャリートレードを仕掛けやすくなった。

円キャリートレードとは、円を売り、相対的に金利の高い通貨を購入して、二国間の金利差の獲得を狙う取引をいう。キャリートレードを行うために重要なのは、国内外の金融政策の方向性の違いと、不確実性要因の有無だ。年内、米国では2回の追加利上げが想定されている。来年、FRBはさらに3回の利上げを行う可能性がある。一方、日銀は現行の異次元金融緩和を維持するだろう。

一方、米トランプ大統領は、貿易戦争は良いことと考えている。経済の基本的な理論を理解していないトランプ大統領の政策は予見が難しい。それが、リスクだ。

6日の対中制裁の内容が明らかになるまで、市場参加者はキャリートレードを控えてきた。制裁の発動後、世界の金融市場に大きな変化は見られなかった。そのため、外国為替市場では、円で資金を調達し、それをドルと交換して日米間の金利差獲得を目指す投資家が増えたと考えられる。

加えて、7月の米卸売物価指数が前年同期比で3.4%上昇し、消費者物価指数は同2.9%上昇した。ヘッジファンドなど市場参加者は米国のインフレ率が緩やかに上昇する展開を見込み、円キャリートレードのポジションを増やしたのだろう。その結果、7月第2週からの円売りが加速し、18日には1ドル=113円台まで円が対ドルで下落した。