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「ペットボトルがぶ飲み」があなたの体を壊す理由

科学的な「2つの水分摂取法」があった
酷暑のなか、各所で水分補給が呼びかけられている。だが最新の知見によれば、ペットボトルで水やスポーツドリンクをがぶ飲みするのはリスクが高いというのだ。

ならばどのように水分をとればいいのか。新刊『「食べる水」が体を変える』より要所を抜粋してお届けする。

「タバコ並みのダメージ」がある脱水

私たちにとって、水はなくてはならないものだ。

人間は食物がなくても約2ヵ月生き延びられることは知られているが、水なしではたった数日で死んでしまう。

ハーバード大学の専門家の意見では、軽度の脱水症であっても、心臓発作を引き起こす確率は上がる。

アーカンソー大学の新しい研究によれば、体の水分量がたった2%低下した程度の軽い脱水症であっても、血管にはタバコ1本を吸ったのと同じ影響が及ぶ。この研究の被験者は若い男性だから、高齢者や子どもが脱水になると、どれほど危険かは言うまでもない。

フランス・ロレーヌ大学の神経科学教授シモン・ソートン博士によれば、軽い慢性脱水症は、肥満、糖尿病、高血圧症、さらにはアルツハイマー病の主な原因のひとつだ。

男性に比べて筋肉量の少ない女性は脱水症のリスクが高いが、『ジャーナル・オブ・ニュートリション』に掲載された2012年の研究によれば、軽い脱水症でも女性の集中力は低下することがわかっている。

「がぶ飲みは危険!」その科学的エビデンス

多くの人は、水を飲めば健康にいいと知っている。だから“健康的な飲み物”として、ペットボトルの水を飲んでいるのだろう。

だが、喉の渇きに任せて大量の水を一気に飲むと血中ナトリウム濃度が下がり、水中毒のリスクが高まる。さらに悪いことに、水をがぶ飲みするとき、たいていの人は汗をかいていて、ナトリウムを奪われた状態にある。

水のがぶ飲みと発汗によって血中ナトリウム濃度が下がっても、皮膚、筋肉、内臓といった細胞のナトリウム濃度は変わらない。

そのため、体はアンバランスを補正しようとする。そこで浸透圧によって細胞外液から水が引き出された結果、細胞にうっ血が起こる。これがめったに起こらないのは、腎臓が短時間で大量の尿を生成し、ナトリウム濃度のバランスを整えるからだ。

しかし、マラソンなど耐久力を求められるスポーツをしている人、炎天下で活動している人は、この作用が起きずに低ナトリウム血症を発症する可能性がある。

ランナー、外遊びをする子どもに、「水のがぶ飲み」がお薦めできない理由がここにある。

ボストンマラソンでは、参加者のおよそ13%が低ナトリウム血症になる。これは、大会に医療専門家たちが待機している理由のひとつでもある。「水を飲めば大丈夫」というのは神話なのだ。

ペットボトルの水ペットボトルの水は歓迎できない
Photo by Pan American Health Organization / Flickr

付け加えれば、1リットルのボトルウォーターの生産には3リットルの水が使われ、ゴミ総量の14%は飲料の容器だ。

私たちがペットボトルの水を飲むことで支えているのは、自分の健康でなく産業界、という皮肉な可能性も否めないことを覚えておこう。

スポーツドリンクが人気を失いつつある理由

「水よりもスポーツドリンク」という人も、一考が必要だ。

スポーツドリンクには私たちが“健康的な飲み物”に求めない糖質が添加されている。そのため、屋外で1日を過ごしたあとに喉を潤すスポーツドリンクは、血糖値の急上昇を引き起こすリスクを伴う。