1000万円稼ぐ人も…カジノ実現で「ディーラー」希望者が急増中

育成学校を取材してみた
我妻 弘崇 プロフィール

カジノ周辺だけでも3000人の雇用が生まれる

オックスフォード・エコノミクスが、2015年に発表したレポート「Beyond 2020:統合型リゾート(IR)の実現がもたらす日本の観光業の発展及び経済的インパクト」によれば、東京圏および大阪圏にそれぞれIRが1カ所ずつ建設されると想定した場合、雇用の創出はIRおよびその付随施設のみで東京圏で3万4500人、大阪圏で2万6000人と算出されている。相当な雇用創出力だ。

「カジノ周辺だけでも3000人の雇用がある。ラスベガスではいくつかのカジノ学校が存在し、卒業証書があると採用時に優位に働く」と贄田氏が話すように、ディーリングを理解し、インストラクターの資格を持つ者が、開業時の即戦力として扱われる可能性は高い。

また、一般的に海外では、犯罪歴などがチェックされるためクリーンな人材でなければディーラーになることはできない。

「ディーラーは男女区別なく働ける職種。本校に入学した男女比率は、57%が女性です。年齢構成比率は20代が47%、30代が25%、40代が15%という数字が示すように、若い人こそカジノ誕生という大きな波に乗ることができないか考えている」

カジノは大きく分けて4つの部門で構成されている。ディーラーとしてゲームの展開、勝敗の配当計算などを行うゲーミング部門。チップを現金化するなど出納を担当するケージ部門、お金のやり取りや顧客、従業員の不正を監視カメラ等でチェックするサーベイランス部門、そしてサーベイランス部門と連動する形でカジノの警備を行うセキュリティ部門だ。

ゲーミング部門以外の三部門においても、ディーラーとしての基礎があることが望ましいされる。例えるなら、ディレクターになるためにADを通らなければいけないように、カジノにおいてディーラーとは、その後のステップアップに欠かせない登竜門というわけだ。

 

年俸1000万円超のディーラーもいる

「マカオのカジノに倣って、現在、日本のカジノは自国民のディーラーがゲームを担当すると言われています。ただし、言葉の問題もある。だからこそ、英会話ができる人がディーラーのスキルを身に付ければ希少価値は高くなるでしょうし、銀行員などお金の管理ができる人がスキルを身に付ければケージ部門で重宝されるなどのケースが考えられる。

語学とマネジメント能力とディーラーとしての技術、これを今から覚えておくことが次の時代へのビジネスチャンスになる。そういったニーズが増えているため、我々もIRとは何か、カジノとは何かといったことを包括的に教えている」

そこで気になるのが、ディーラーの収入だろう。華やかな世界で大金を稼ぐことができるというイメージがあるが、いったいどれほどの収入を得られるのか。

カジノ先進国であるマカオの場合、ディーラーの平均収入は、公務員の1.5倍ほどと言われているが、この数字をそのまま日本に当てはめることは難しそうだ。

日本にカジノが誕生した際のディーラーの収入は、「開始当初は20代の平均月収である20万円前後になるのではないか。ただし、IR・カジノの収益が見込めれば、海外におけるディーラーの平均年収400万円程度に近づいていく」と贄田氏が話すように、ディーラーになったからといって、すぐさま大金をつかめるというわけではない。

しかし、実力が公平に評価されやすい職種でもある。

性差がないことに加え、前述のとおりスキルに応じて待遇が向上することから、「一般的な総合職の給与よりも高くなる」と贄田氏は話す。日本ではあまりなじみのないサービス料としての「チップ」を考慮すれば、ギャンブルに関わる仕事ながら、その収入は自身の評価に応じた手堅いものであると言えそうだ。

事実、ラスベガスでは、ホテルごとに異なるもののマネージャークラスになると年俸が1000万円を超えることも珍しくない。またマカオでは、バカラや大小といった各ゲームのピットのマネージャー的な仕事を担うピットボスの年収も1000万程度と言われている。

日本カジノ学院の卒業者の中には、現在、シンガポールのIR「マリーナベイ・サンズ」のカジノで働いているディーラーも存在するが、勤務時間は8時間のシフト制で、休暇は月5日以上、最低月給は日本円にして約24万円~という条件。勤務内での食事やクリーニングなどはすべて会社が負担するといった具合だ。