やっと見えたゴールデン・ロック
道のりはなかなか遠い。
キンプンの街で今度は政府が運営するトラックに乗り換える。荷台に木の板を渡しただけの簡素なもので、ここに人々が詰め込まれる。ここから先はこれで行くしかない。
およそ1000メートルの山麓を駆け上がり、少しずつ標高を上げていく。だんだんと緑深い山中に分け入っていく。となりのミャンマー人からはお菓子が回ってきた。ヤンゴンから遊びに来たのだという。
1時間ほどでトラックは山頂に着いた。尾根道の左右に土産物屋や食堂、お堂などが並び、日本の参道のような賑やかさだ。途中からは「聖域」となるため、靴と靴下を脱いで歩いていく。
そして……やっと見えてきた、黄金の巨岩チャイッティーヨー・パヤー。

断崖の上に乗っているのだが、3分の1ほどがはみだしており、いまにも落ちそうだ。ひと押ししたら一気に転がり落ちてしまいそうなのだが、巨岩はこの状態で1000年以上もバランスを保っているのだという。
巨岩の上には小さな仏塔が安置されているが、この中に仏陀の聖髪が保管されているとされ、その力で「重力に逆らって」いるのだとか。
だからここはミャンマー屈指の巡礼地であり、観光地だ。巨岩に向かって祈る人が絶えない。とはいえ堅苦しい雰囲気はなく、スマホを構えて写真を撮り、お弁当を広げ、お土産を見て回る。
その楽しげな様子がこちらにも伝わってくる。なんというか、ミャンマー人と一緒にピクニックをしているような気分だ。

ミャンマーには、どこか昔懐かしい空気が閉じ込められている。まだまだアジアの純情が残っている。女性たちの凛とした民族衣装はその象徴のようにも思えた。
そんなミャンマーには、ひとり旅のシニアも多い。未開発な部分もあるが、それをカバーするホスピタリティにあふれている。
ミャンマーも含めたインドシナ半島諸国など、世界を個人で旅しようと思い立ったらなら、ぜひ『おとなの青春旅行』をご一読いただけると幸いだ。
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