2018.07.24

落ちそうで落ちない、あの「黄金の巨岩」を見に行くまで

納豆も出てくるミャンマーの旅路
室橋 裕和 プロフィール

タイ・バンコクから、カンボジア、ベトナム、ラオスを巡る周遊ルートは、いまや若い世代からシニアまで多くの日本人旅行者に人気だ。各所にアンコールワットをはじめとする世界遺産があり、治安は改善され、食事もおいしい。

各国の経済発展によってインフラの整備も進み、バスや列車での移動もずいぶん楽になった。加えて物価はまだ安い。実に旅しやすいのだ。

『おとなの青春旅行』で僕は、そんなインドシナ4ヵ国の旅を紹介しているが、これにもうひとつ、ミャンマーを組み合わせるのも面白い。バンコクなど各所からLCCが飛んでいるし、タイから陸路、バスで向かうこともできる。

ビザは東京やバンコクの大使館でも手配できるが、いまはオンラインでの手続きが簡単だ(https://evisa.moip.gov.mm)。なお2018年10月から、日本人は観光ビザ免除か、という情報もある。

「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれるその熱気、発展の槌音(つちおと)、そしてアジアでもとりわけ優しく穏やかな人々が待っている。

シュエダゴン・パゴダも民族衣装の人々で実にカラフルだ


シュエダゴン・パゴダからダウンタウンのホテルに戻り、ほっと息をつく。外界の熱気はさすがにこたえる。40度近いのだ。休み休み、張り切りすぎず、常にミネラルウォーターを持って歩くようにしている。

そしてこのホテルは、日本語もよく通じた。フロントには現地で発行されている日本語のフリーペーパーが置かれている。日本人出張者が多いのだろう。

日本の温泉の素まであったのには驚いた。バスタブに湯を張って、束の間の日本気分を味わって疲れを癒す。これで1泊50米ドルは安いと思う。

一時期は外資進出ラッシュで高騰していたヤンゴンのホテル料金もいまでは落ち着いている。20ドル程度の安ホテル、10ドルほどのゲストハウスも多い。

3日ほどヤンゴンを見て回った。地方も行ってみようと思い立つ。タクシーの運転手に「バゴーに行きたいんだ」と告げると、彼はバスターミナルから行くといい、セダンをヤンゴン北郊に走らせた。エアコンの動かないタクシーも多かったが、かんたんな英語はよく通じた。

 

ランチには、なんと納豆が

だが、到着したターミナルを見て唖然とする。むきだしの赤土。埃が舞う。暑い。バラックのような建物の前に、ちらほらとバスが停まっている。車体には日本語。

「○○建設」「△△幼稚園」「○○高速道路作業車」……中古車が遠くこの地で再利用され活躍しているのであった。

流れ出る汗を抑えて聞きまわっていると、バゴーに行くというバスが見つかった。もうすぐ出るらしい。すでにエンジンがかかり、エアコンの効いた車内に腰を落ち着ける。なんとか行けそうだ。

車窓から見るビルマの大地は圧倒的だった。地平の果てまで平原が続いていた。背の高いヤシが街道筋の村にぽつりぽつりと立ち、仏塔がきらめく。巨大な太陽が空に燃える。

僧侶が多い国だとも思った。とりわけ、まだ小学生くらいの少年僧たちの姿は胸に迫るものがあった。ピンクの法衣に身を包み、カゴを持って、一列になって托鉢に回っている。仏教がいきいきと息づいていた。

どこに行っても笑顔が待っているのがミャンマーだ

バゴーの街でホテルに荷を落ち着けると、翌日はチャイティヨーに向かった。今度はホテルで車と運転手を用意してもらった。この大地や村の姿を、あちこち撮り歩きたいと思ったからだ。

ぜいたくなようにも思えるが、往復で50米ドルほどなのだ。個人旅行は気分と体力を見て、臨機応変に旅のスタイルを調整できるのがいい。

日本では絶対に見られない巨大な入道雲の下、ドライブが続く。途中ランチに立ち寄った食堂では鶏肉の煮込みを頼んだのだが、付け合わせになんと納豆が出てきた。刻んだ唐辛子を混ぜ込んであって、やや辛味と酸味があるが、しっかりと納豆だ。

「このあたりはモン族が多いんだ」

運転手はそう言う。モン族やシャン族などは納豆もよく食べるのだという。ミャンマーからインド東北部、中国雲南省にかけての一帯は日本と共通の文化が多い。日本人のルーツもこのあたりなのでは、という説もあるそうだ。

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