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リベラル家庭で育った妙齢日本人女子が「ネット右翼」になるまで

誰でもネトウヨになる可能性がある

引きこもりと鬱と自傷と睡眠導入剤とアルコール

前回( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56339 )、シェアハウス暮らしの中で目撃した外国人留学生への悪質な人種差別について書かせてもらった。今だにゾッとするし怒りが湧いてくる出来事だけれど、実はあの話を書くならもうひとつ、しないといけない話がある。

正直書くのがメチャクチャしんどい。とても恥ずかしい話で、思い出すだけでわーっ!と叫んで転がりたくなってしまうのだ。でも告白しないと先に進まないので書くけれど、私は昔、所謂ひとつの「ネトウヨ」だった。

 

「ネット右翼」という存在の定義は明確ではないけれど、Wikipediaには「インターネットの電子掲示板上などで、右翼的、国粋主義的、国家主義的、復古主義的な主張をする人たちを意味する」と書いてある。(ちなみに「ネトウヨ」という呼称はスラングのさらに蔑称にあたると思うので、以下「ネット右翼」で表記を統一する)私はそれだけでなく、排外主義や家父長制を支持する傾向があるのが一番大きいポイントだと思っている。

私がネット右翼だったのは、今から十数年前。24歳から26歳くらいの期間。若かったけれど、ものの分別はついてしかるべき年齢だ。当時は実家暮らしをしていて、引きこもりと鬱と自傷と睡眠導入剤withアルコールの常飲という数え役満みたいな問題を抱えていた。

順を追って書くと、私は18歳で一度実家から上京しいろいろな職業を転々としたのだが、どこも長続きせず精神的にも金銭的にも手詰まりになり21歳のとき早々に実家に戻った。家事能力は低く、自分の身の回りの世話もおぼつかずあらゆる点でだらしなかった(これは今も同じ)。

しばらくは家業を手伝ったり当時流行っていたテキストサイトを作ったりして楽しくやっていたけれど、次第に引きこもりがちになり、酒量がじわじわと増えはじめ、4リットルくらい入ってるでかいペットボトル焼酎を1週間足らずで空けるようになり、泥酔してはカッターナイフや煙草の火で自傷行為をするようになり、ついに首吊りの自殺未遂をやらかした。

さすがにこれはまずいと自覚し、心療内科に通うこととなった。ここまでは、たぶん「憧れていた一人暮らしを自分でダメにした」という後悔と自己嫌悪が引き金になっていたのだろうなと思う。

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病院では速攻で鬱と診断され、抗鬱剤と睡眠導入剤を飲み始めた。効き目はわりとすぐにあらわれ、スコップでえんえんと地面を掘り続ける作業をノルマ付きで強要されていたような奇妙な焦りと疲労感が徐々に消え、心がすこんとフラットになった。喜怒哀楽全ての感情が、ボリュームをしぼったように小さくなったのだ。喜びはないが、哀しみもない。

小指の先ほどもないちっちゃい薬ひとつで、あっという間にこんなに気分が変わってしまうのに驚いた。ヒトの精神とか想いとか中身ってなんなんだ、とちょっと虚無感も感じた。

そして、それまで一日中出口もなく考え続けてきた「自分について」という議題にもいきなり興味がなくなった。文章を書くこともほとんど出来なくなっていた。書き始めても完結させられない、オチのある話を作れない。そこそこ閲覧者がいたブログもやめてしまった。長大な暇が目の前に現れた。そうして一日中ただただインターネットから情報をボーッと受け取るだけの毎日が始まってしまったのだった。