地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1929年のこの日、当時世界最大だったドイツの硬式飛行船「ツェッペリン号(LZ127号)」が、世界一周飛行の途中で霞ヶ浦に寄航しました。全長235メートルという巨大さに人々は圧倒され、見物のために臨時列車が運行されるほどの騒ぎだったそうです。
硬式飛行船とは、船体骨格をもつ飛行船で、空気より軽い水素ガスを詰めた複数の気嚢を収容したガス袋を、アルミニウムなどの軽金属の外皮で覆った船体となっています。エンジンおよびプロペラなどの推進装置、乗務員や旅客を乗せるゴンドラが外部に取り付けられています。機体後部には尾翼があり、方向安定を得るとともに取り付けられた舵面を動かして船体の方向を変えます。
ツエッペリンは、硬式飛行船を指す一般名詞のようになりましたが、公式に「ツエッペリン号」を名乗ったのは、このLZ127と、改良型のLZ130が「グラーフ・ツエッペリン号」となっています。
アメリカ大西洋沿岸のレイクハーストの海軍航空基地を8月8日に出発した「ツェッペリン号」は、まず大西洋を横断して故郷のドイツへと向かいました。そこからシベリアを横断して東京へ、さらに太平洋を横断飛行(飛行船による初の太平洋横断)して、ロサンゼルスを経由し、29日にレイクハーストにもどって世界一周を達成しました。
ちなみにニューヨーク郊外で爆発炎上した有名な「ヒンデンブルク号」はこの7年後に作られたLZ129号です。
既に、この頃からツェッペリン飛行船製造会社でも、水素にかわってヘリウムガスの使用が計画されていましたが、深まる米独の政治的な溝によって、唯一の供給国であるアメリカからのヘリウムガス輸入が困難でした。
「ヒンデンブルグ号」事件は、こうした世界情勢の中で起った事件で、事件の原因に関しては様々な憶測を呼び、多くの謎を残しました。