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米中「新冷戦」に比べれば、北朝鮮など瑣末な問題だ

ロシアでさえ「脇役」にすぎない

もはや米朝交渉は破綻した

米国のトランプ大統領がロシアと北朝鮮に対して、宥和姿勢を強めている。一方で、中国とは貿易戦争に踏み切った。これが「行き当たりばったりではない」とすれば、一連のトランプ外交をどう理解したらいいのか。

トランプ氏は7月17日、ホワイトハウスで開いた共和党議員との会合で「北朝鮮の非核化には期限を設けない」と語った。ポンペオ国務長官も先に、同様の発言をしている。大統領は6月12日の米朝首脳会談の後、会見で「非核化はすぐ始まる」と語っていた。

今回の大統領発言はこれを撤回して、非核化プロセスが長期化する見通しを認めた形だ。日本海に空母を展開して「非核化に応じなければ軍事攻撃も辞さない」と繰り返した春ごろの強硬姿勢とは、完全に様変わりした。

 

大統領は「様子を見よう。いまはプロセスを踏んでいる最中だ」とも語っているが、米韓合同軍事演習を中止し「最大限の圧力」は消えた。これで北朝鮮が動くわけもない。実際、北朝鮮は6月6、7日の実務者協議の後、再び米国批判を強めている。

先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56527)で、私は「米朝交渉が破綻しつつある」と書いたが、今回の発言を見ると、破綻は一層、鮮明になってきた。この様子では、いずれ実務者協議すら開かれなくなる可能性もある。

トランプ氏はロシアに対しても宥和的だ。プーチン大統領と7月16日に米ロ首脳会談をした際、米大統領選へのロシアの介入疑惑について「ロシアの干渉であるとする理由が分からない」と語り、連邦捜査局(FBI)よりもロシアを信用するかのような発言をして、大問題になった。

トランプ氏は後で「ロシアの干渉ではないとする理由が分からない」という二重否定の言い間違いだったと釈明したが、単なる言葉の問題では済まされない。

大統領は「ロシアを先進国首脳会議(G7)に復帰させるべきだ」とか「クリミア侵攻はオバマ大統領の時代の話だ」などと発言している。ロシアに甘い姿勢は明白である。そもそも、このタイミングで米ロ首脳会談を開くこと自体、狙いが分かりにくい。

実際、会談は核軍縮交渉の継続で一致したくらいで、ほとんど成果がないまま終わった。2人の大統領にとっては、握手した写真が世界に流れて、指導者然とした姿をアピール出来て良かった、という話である。それでいいのだろうか。

世界は2014年のクリミア侵攻を忘れていない。ロシアが公然と(当初は認めていなかったが、1年後にプーチン大統領が認めた)ウクライナに軍事侵攻し、国境を塗り替えた事件である。戦後世界秩序を根底から覆し、当時の英国外相は「欧州における21世紀最大の危機」と表現した(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38577)。

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