できる人は無意識に「説明力」を使っている!

相手を引き込むために必要な、表現のポイント
海保 博之 プロフィール

ときには説得的に説明する

説明は説得とも違う。言いたいことをわかりやすく相手に伝えるのが説明、相手を自分の思い通りに動かすのが説得である。たとえば、教師は子どもに説明する、営業マンは顧客を説得することになる。

しかし、説明と説得の境界は微妙である。時には、説得の技法を説明の中に取り込むこともあってよい。

説得表現で最も大切なことは、相手を説得するに足る自己主張の内容があることである。これがないと、どれほど趣向を凝らしても、それは騙しや空虚な演説になってしまう。

口頭による説得のためには、声の調子や手振り身振りや顔の表情などの“パラ言語”も大事になってくる。さらに、パワーポイントのようなプレゼンテーションツールの使用も効果的である。

説得表現を実践的に学ぶには、広告宣伝で使われているさまざまな趣向も参考になる。たとえば、アイドマ(AIDMA)の法則。広告宣伝では、次の5つの観点が鍵になるというもの。

Attention 注意を引く 例:目立たせる
Interest 興味関心、利益に訴える 例:10%オフ
Desire 欲求に訴える 例:おいしそうな実物写真
Memory 覚えてもらう 例:頻繁に見せる
Action 買いにきてもらう 例:地図や電話番号を

あるいは、3Bの活用。

「Beauty:美人」
「Beast:動物」
「Baby:子供」

居間でおかあさんが子供をだいてペットと戯れているような光景である。

以上やや強引に、表現力から説明力の部分を引き離し、さらに説得力との区別をしてみた。説明力、つまり受け手の知識、気持ち、行動にまで思いをはせることの重要性を強調したかったからである。現実には、こんな区別は特に必要はない。

わかりやすさの設計は、高齢化社会のなかでの高度情報化という難題の解決のなかでも、ぜひ関係者の方々にもお考えいただきたいとの切実な思いに駆られて、この小論を書かせていただいた。

【写真】高齢化のなかで高度情報化が進む現在
  わかりやすさの設計は、高齢化社会のなかでの高度情報化するという難題解決のカギとなるだろう photo by iStock
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【書影】読ませる技術 聞かせる技術

海保 博之 著

誰もがブログやSNSで表現者となっている時代。表現することの大切さと難しさを痛感している人も多いはずです。

本書では、表現することを、どうしたらわかりやすく伝えられるのか、著者みずから名付けた「認知表現学」をもとに系統立てて解説します。あふれる情報のなか、自分の発信するものをどうしたら読んでもらえるか、聞いてもらえるかが見えてきます。

1988年刊の著書『こうすればわかりやすい表現になる』新装版。