できる人は無意識に「説明力」を使っている!

相手を引き込むために必要な、表現のポイント
海保 博之 プロフィール

「説明力」に必須なのは、相手を意識すること

表現をわかりやすくするためのリテラシーを、いくつかを紹介させていただいた。

しかし、説明となるとそのわかりやすさの設計には、説明の受け手への配慮が必須となる。相手意識を欠いた独り善がりの表現は、迷惑千万である。あたかも、被災地に押し寄せる、ニーズに合わない救援物資に困り果てさせるようなものである。

というわけで、「表現」から、受け手の理解のくせ、保有している知識や取り巻く状況にまで配慮した部分を「説明」として分離して、少し考えてみたい。相手が何を求めているのか、どんな知識を持っているのか、どんな状況に置かれているのかに思いをはせる習慣が、真の説明力を養う基本になる。

そのためには、まずは、説明の受け手分析が必須となる、図2は、そのひとつで、ふたつの観点を直交させて、受け手を類型化してみたものである。

  図2 受け手の類型化の例

相手が関連知識が豊富であなたの言うことに強い関心をもっているなら、説明のための工夫より、説明の内容のほうに集中すればよい。

しかし、相手がその逆のような人々ばかりであることが想定されるときには、説明の仕方のほうを工夫しないと悲惨な結果に終る。

説明の成功度は、第1象限「探求型」、せめて第2象限「好奇心旺盛型」「お義理型」をどれだけ増やせたかによる。
 
これはあくまでひとつの事例に過ぎない。繰り返すが、心構えとして、説明力を高めるには、受け手について常に思いをはせ、彼らを取り巻く状況やその中での心の働きを執拗に考えることである。

ではどのように考えればよいのかを、筆者は、かつてマニュアル設計の世界で、わかりやすさの心理的設計原則として提案したことがある。