ある日突然「日本人ではなくなった」31歳男性の告白

指紋を取られ、裸にさせられ…
井戸 まさえ プロフィール

難民にも厳しい国・ニッポン

日本は「難民」の認定数が極端に少ないことは度々報じられている。

実際、法務省が発表した2017年における難民認定申請数は19,628人で、前年に比べ8,727人増加し過去最多。このうち難民認定申請の処理数は11,361人で、前年に比べ3,168人増加している。

難民認定手続の結果、日本での在留を認めた者は65人であり、その内訳は、難民認定者が20人、難民と認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた者が45人である。

搔い摘んで言えば、2万人あまりが申請して、処理は1万1千人。在留が認められたのはたった65人。

まさにこの数字が日本の難民・無国籍・無戸籍対策の「人道的観点」そのものだ。

無国籍の人が日本国籍を取ろうとした場合は、雅樹の事例のような「就籍」以外にも難民申請をして永住許可等を得た上で帰化を申請する方法もある。

ただし、65件の難民認定数の少なさを見れば、その困難は想像に難くない。

政治も行政も司法も「何か起った時に責任を問われるのが怖い」。「ならば認めないでおこう」といった自己保身が見え隠れする。彼らにとっては無国籍で生きることの困難など想像もつかないのだろう。

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「帰化」への最低条件

出生時以外で日本国籍を得る場合は、外国籍を持つ、もしくは難民認定を受けて永住権を持つ者には「帰化」という手続きもある。

帰化の一般的な条件は国籍法第5条により決まっている。

①住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
 帰化の申請をする時まで、正当な在留資格を有し、引き続き5年以上日本に住んでいること
②能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
 年齢が20歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していること
③素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
 素行が善良であること。犯罪歴の有無、納税状況等も含めて判断される
④生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
 生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要。生計を一つにする親族単位で判断され、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすことになる
⑤重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
 帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要。
 ただ、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合がある。
⑥憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
 日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されない。

帰化は、以上の6条件を前提としているが、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、上記の帰化の条件を一部緩和している。

 

ただ、上記条件は日本に帰化するための最低限の条件で、たとえすべて満たしていても、必ず帰化が許可されるとは限らない。

実際、2010年以前は1%前後であった不許可率は、2011年以降上昇し、2016年は5.29%、2017年は5.65%となっている。

上川陽子法務大臣は7月15日付け読売新聞のインタビューで、無戸籍者に対する法改正も含めた対策を示唆したが、無戸籍だけでなく、無国籍、難民、帰化政策に関してさらなる検討と対応が必要であることは自明だろう。