84歳・超文系人間でもわかった「AIの未来、日本人の雇用」

私の仕事はなくなりますか?
田原 総一朗 プロフィール

(「雇用の未来」について講演するマイケル・オズボーン)

人工知能は悪魔か?

それに、このところAI学者や研究者の間で「シンギュラリティ」という概念が大きな論議の課題になっているようだ。

この概念は、アメリカの著名な発明家レイ・カーツワイル氏が、技術に関する未来予測の書『シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき』で紹介したものだ。

松尾豊氏(東大大学院工学系研究科准教授)によれば、「人工知能が自分より賢い人工知能をつくり、その人工知能がさらに賢い人工知能をつくる、これをものすごいスピードで繰り返せば、人工知能は爆発的に進化する。だから、人工知能が自分より賢い人工知能を作りはじめた時点こそ、すべてが変わる『特異点』になる」ということで、その技術的特異点を、カーツワイル氏は「シンギュラリティ」と称した、というのである。

アメリカの一経営者が主張した「シンギュラリティ」という概念が、世界のAI学者たちの大きな、そして深刻な課題となったのは、先ごろ亡くなった宇宙物理学者、スティーブン・ホーキング氏をはじめ、その世界で信頼されている少なからぬ学者たちが「シンギュラリティ」の到来を認めたからである。

ホーキング氏は、「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」と警鐘を鳴らした。

電気自動車で有名なテスラモーターズのCEO、イーロン・マスク氏は「人工知能にはかなり慎重に取り組む必要がある。結果的に悪魔を呼び出していることになるからだ」と述べている。

さらに、サン・マイクロシステムズの創業者でAIの世界で信頼されているビル・ジョイ氏は「未来はわれわれを必要としていない」とまで言い切っている。人工知能は人間の機能を拡張するのではなく、人間を必要としなくなってしまう、というのである。

STEMの教養のない年寄りではあっても、人工知能が社会をどのように変えていくのか、人工知能が人間を必要としない悪魔にしないためにはどうすべきなのか──人工知能というものを基本の基本から徹底的に探求せざるを得なくなる。

人工知能とは本質的に悪魔なのか、人間の力で悪魔にならないようにできるのか。

『AIで私の仕事はなくなりますか?』

田原総一朗

田原総一朗 著

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