米中貿易戦争「トランプの決断」が、中国経済の息の根止める可能性

とはいえ、日本も喜んではいられない
河東 哲夫 プロフィール

日本が活力を取り戻す法

トランプは自身の再選のため、米国経済の建て直しに注力する。北朝鮮やロシアなどの敵対国とは、不必要な対立を減らすことで、米国への脅威を減らす。そして同盟国には、経済でも安全保障でも米国への依存度を減らすことを強く求めるのだ。

戦後、米国主導のグローバル自由貿易体制を享受し、輸出、そして日本の政府・公営企業の需要に強く依存して生きてきた日本企業は企業のあり方も含めて新たな境地を切り開いていかないと、東は米国、西は韓国・中国そしてドイツの企業にどんどん押しこめられ、窒息してしまう。

それなのに日本企業の多くは、世界を見つめて新たな方向を見極める力、そしてそれにカネとヒトを集中する体制が欠けている。

日本の企業が「選択と集中」ができないことは、多くの人に指摘され、その原因も事業部間の対立等、いろいろと議論されている。

 

しかし現場の話を聞いてみると、どうも一番重要な要因が明るみに出されていないようだ。それは、日本の大企業の多くに見られる、「社内の人脈・権力構造に波風を立てないこと」への固陋なまでの配慮ぶりだ。

どういうことかと言うと、日本の企業は営業部、財務部、総務部、あるいは開発、製造、営業のように、いくつかの「組」あるいは「流」に分かれている。社員はいずれかの組に入社から退職まで属して、出世の階段を昇っていく。ほぼ定期的、数年ごとに、各組のトップが社長の座についていくが、それはもう何年も前から決まっている。

こうなると、社員にとって最も重要なのは、20年先の社の運命よりも、自分の組のトップに立っている者の力を維持し、何年か先には「予定通り」社長の座に押し上げることで、自分自身の出世も確保することとなる。

そして自分の組のトップが社長を務めている間は、とにかく「大過なく勤め上げる」ことが最重要。いちかばちかリスクの高い投資案件は、失敗すれば責任を負わされるので、判断を先送りにしがちだ。どんなに儲かっている部門でも、それが傍流ならば、本体の命を細々とでも長らえさせるために売り払って愧じない。

どの国のどの企業でも、それなりの硬直要因を抱えているだろう。しかし日本の場合は、ひどすぎる。

社長の一存では社を大きく変えられないから、太平洋戦争と同様、有無を言わさず総崩れにならないと、変わるまい。

とは言え、新しい芽はいくつか出ている。ニトリ、アイリスオーヤマ、プリファードネットワークス、家電のシリウス、こうした新しいビジネス・モデルを持つ企業に、今多くの面で曲がり角にある地銀、都銀が長期融資を用立てて行けば、戦後の活気の再現も夢ではない。

日本の大企業のいくつかが曲がり角にある中、外資系企業に就職する若者が増えているが、その企業の本体の幹部になれる者は稀である。

大多数は中途半端な人材として扱われ、逼塞した環境で足の引っ張り合いに終始する者も多いと聞く。

中国人の夢は米国に移住することかもしれないが、英語力に難のある日本人は米国ではやっていけない。頑張らないと、二流、三流となった日本で、外国人に顎で使われる存在に堕してしまうだろう。