米中貿易戦争「トランプの決断」が、中国経済の息の根止める可能性

とはいえ、日本も喜んではいられない
河東 哲夫 プロフィール

中国も日本のようになるのか

中国経済の曲がり角は、日本にとってチャンスなのか? 

そうではあるまい。もともとプラザ合意後の円高で、低賃金の中国で生産して世界に輸出するモデルを開発した日本の製造業にとっては、米国の対中関税引き上げは、日本製品への関税引き上げに等しい。

日本企業は、対米輸出の基地をどうするか、中国から第三国に移すか、日本に戻すか、あるいは米国内に移転するかの選択に迫られる。

日本は、米に迫って斬り捨てられた点では、中国よりはるかに老舗。

プラザ合意での製造業の空洞化、1986年日米半導体協定での半導体産業の没落、米国企業によるアウトソーシング方式採用による日本の電機・電子産業の没落と、モグラたたきのモグラのように首を出すたび叩かれて、今度は残った自動車輸出まで最後の一撃を受けようかという時。

中国が米国にやられて喜んでいる場合ではない。米国に叩かれて、対策に窮している点では、中国と同一線に並んでいるのだ。

 

トランプ米国は、戦後世界で米国がまだ維持している力を露骨に使って、競争相手を押し込める。

米国法、あるいは米国政府の措置(例えば対ロ制裁)に反することをする外国企業があれば、たとえそれが第三国で行われたことであっても、米国政府、あるいは裁判所が制裁措置を取る。

外国企業はこれに従う義務はないのだが、従わなければ米国内でのビジネスが禁じられてしまう。たとえ米国内でビジネスをしていなくとも、米国政府が米国企業・銀行に対して、その外国企業との取引を禁じてしまえば、その外国企業は貿易のドル決済、つまり貿易の殆どができなくなる。

ということなので、トランプ米国――今の情勢では2期8年はやるものと覚悟する必要がある――とは提携を強めて生き残る術を探るしかあるまい。

日本人は英語ができないので、米国の第51州になるのは無理、せいぜい自由貿易協定を結ぶくらいだろう。必需品を輸入できるだけの外貨を輸出で稼ぎながら――それは高級車、先端技術部品、特殊機械類で――、成長は国内のサービス産業中心にはかっていく。