田原総一朗が飛び込んだ「高齢者専用風俗店」の世界

高齢者の性を巡る旅③
田原 総一朗 プロフィール

文春に取り上げられヒット

――それで、お客さんはどうやって集めるのですか、何かのかたちで広告を打つのですか。

「いや、広告は一切しません。たとえばスポーツ新聞に広告を打つというのは、デリヘルのひとつの常套手段ですけれど、経験上、スポーツ新聞に広告を打つと、女の子が嫌がるようなお客さんが増えちゃう、ということが分かっていましたので。

いま、デリヘルを経営する中で一番大切なのは、働いている女の子を辞めさせないこと、なんです。乱暴なお客さんが増えると、女の子が退店する可能性が高くなるので、そういうところに広告を打つことはやっていません。

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広告も打たないものですから、最初の頃は、全然お客さんが入らなかったのです。ところが、『こころあわせ』を始めて1年半ぐらい経った頃に、ドリフターズの加藤茶さんが、若い女の子と結婚したことで、シニア世代と若い女の子の結婚というのが話題になったんです。

そうしたら、たしか『週刊文春』が『60歳以上のデリヘルがある』ということで僕と『こころあわせ』を取材して、それが記事になったときに、バーンと電話が鳴り出したのです」

――なるほど。メディアに取り上げられたことで大宣伝になったわけですね。

「はい。これまでに、雑誌、新聞、テレビなどの媒体で、40社以上、取材を受けています」

――メディアが取材することで、「こころあわせ」がお客さんたちに信用されるようになったわけですね。ところで、「こころあわせ」に勤務している女性は何人くらいですか。

「東京だけで、在籍が70人くらいです。仙台が10人、福岡が6人程度です」

――契約している女性の年齢は、いくつぐらいですか。

「これが広くて、20歳から、上は60歳近い女性もいます」

――性的サービスをするのですから、そういう女性を集めて契約するのは大変だと思うけど、いったい、女性たちを、どうやって集めるのですか。

「スタートした当初は、僕がスカウトをしていました」

――スカウトって、どのようにしてスカウトするのですか。

「ナンパです。渋谷とか新宿で、街中を歩いている女の子に声をかけるのですよ。いまでは禁止されているので、あくまで当時の話ですが」

――あなたが直接声をかけるのですか。デリヘルやりませんか、と。大変だな。

「最近はSNSがあるので、SNS上で知り合った女性に、少し多くのお金が必要ならば、よかったらこういう仕事をやりませんか、とやさしく説明するのです」

――そのとき、女性たちに、デリヘルとはどういう仕事なのか、お客さんにどういうサービスをするのか、と具体的に説明をするのですか。

「今の女の子たちは、説明をしなくても、大体どういうことなのか、わかっている子が多いですよ。ただし、お客さんとは『本番のない彼氏とのセックス』をしてくれればよい、と念を押しています」

――本番のないセックスとは、どういうサービスをするのですか。

「本番とは、ようするに性器を入れることです」

――性器を入れる以外のサービスというのは?

「SMの世界だと、ビンタとか、縛るとか、いろいろありますが、そういうのはなくて、良識範囲のサービスをするのです」

――良識範囲とは、どういうサービスですか。

「手や口を使って、いろいろサービスをする。キッスとか、フェラチオとか、とにかく本番以外です」

――だけど、フェラチオをすれば、本番をするのと変わらないじゃないですか。

「田原さん、それは全然違うんです。本番を容認すれば、現在の法の下では捕まります。私は、こんなに利益がないところで捕まりたくないですからね。もっとも一般のデリヘルさんだと、お店によっては本番ができるのだと思います。だけど、デリヘルをやっていて、僕らが一番気にしているのは、女の子を守るということなのです。女の子を集めるのが一番大変な仕事なので、女の子のいやがる行為というのは、できるだけ止めていかなければなりません」

――女の子はやっぱり本番をいやがる子が多いのですか。

「いや、実はここが面白いところで。本番をやる子、というのは稼げなくなってしまうのですよ」

――えっ。僕ら素人には逆のように思えるのですが。本番をやらないと稼げないのではないか、と。

「ここが面白くて……。男性というのは、本番がゴールなのです。だから、最初からゴールを渡したら、もうそれ以上来なくなってしまう。つまり、本番をした瞬間に、その女の子から離れて行ってしまうのです。常連だった人が来なくなれば、それだけ収入は減ります。結果、退店してしまうことにつながりかねない」

――へえーっ。そういうものですか。

「だから、キャバクラって、なぜあんなにお金が取れるかといえば、男性は、相手の女の子とセックスしたいけど、それができない。だから、ずっと通い続けるのですよ。それは、風俗も同じで、本番をさせない方が、女の子は、本当は稼げるのです。だって本番をさせてしまうと、だいたい男性は、今度はほかの女の子を指名して、次々に変えていく。そういうことになってしまうのです」

――なるほど。そういうことですか。

「ゴールを与えてしまうと、次の女の子、次の女の子ということになるのです。僕は、ずっとそういうポリシーで、この風俗の業界をやってきたのです」