26歳の右翼活動家は、なぜ保守系出版社を襲撃したのか

右翼と愛国 若手民族派の思考回路
安田 浩一 プロフィール

ヘイトに対する態度

──右翼をやめる気はないですか?

私は半分本気、半分冗談で松田に訊ねた。

「やめないですよ。それを続けることが人生だと思っていますから」

松田はそう答えた。彼の「愛国」を止める権利など私にはない。

だが、絶対に譲れないこともある。ヘイトスピーチの問題だ。

この点に関しては、私と松田には認識に差異があった。

松田は、ネット上でのヘイトスピーチには嫌悪感を持っているが、基本的には無視のスタンスを貫いている。

「匿名で無責任な言動をするような連中など相手にしたくない」と話す。

だが「相手にしない」だけでヘイトスピーチを根絶させることはできない。

「国土を守る」というのであれば、日本社会に深刻な分断や亀裂をもたらすようなヘイトスピーチを黙殺してよいのか、声をあげるべきではないか――と私は思う。

部落差別を「人権侵害」だとして訴訟に持ち込むことも辞さない松田だが、排外主義に関してはやや煮え切らないようにも映る。

「愛国」は、ときに差別と偏見の温床ともなる。

生真面目、一途な松田の「愛国」は今後、どのように研ぎ澄まされていくのか。

どこに向かうのか。

去り際、深々と頭を下げてから背中を向けた松田を目で追いながら、彼の若さと行動力が、社会を分断させたがっている側に絡めとられないことを願った。

「右翼」の戦後史

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