26歳の右翼活動家は、なぜ保守系出版社を襲撃したのか

右翼と愛国 若手民族派の思考回路
安田 浩一 プロフィール

学内ネイルサロン反対闘争

大学内でネイルサロン開設の動きがあると、松田は「大学の企業化」だとして反対運動を起こした。

ちなみに国士館では敷地内での政治運動は禁止されている。

ネイルサロン反対が政治運動かどうかはともかく、右翼学生が立ち上がったことに大学側も危機感を持ったのだろう。

学内で反対運動することを認めなかったので、松田は最寄り駅で一人でビラまきをした。

 

結果的に、ネイルサロンは学内の美容院の中で営業することとなり、独立店舗の開業に至らなかったことで松田も矛を収めた。

また、大学内で東アジアの問題について語るシンポジウムが開催された際には、登壇者の中に日本国籍者が一人もいないことに対する抗議活動もおこなった。

「東アジアの問題を語るシンポジウムを日本で開催するのに、なぜ日本国籍者がいないのか」と大学に抗議したのである。

こうした活動を通じて、右翼の世界でも次第に名前を知られていく。

その傍ら、左翼学生やアナーキストも含むさまざまな若者たちとも交流を重ねるなど、思想にとらわれることのない生き方を選んだ。

就職活動はしなかった。民族主義を学び、右翼としての実践を積み重ねていた松田に、会社勤めという設計図はなかったのだ。

卒業後は右翼活動家の道を選択した。

信条は「国土を守ること」

「一般的な社会常識からすれば"外れている"と見られるかもしれませんが、(右翼活動家になったのは)自分にとっては、きわめて自然なことなんですよね。

気負いもないし、熟慮があったわけでもない。そうすることが決められていたかのように、この道に進んでいます」

拉致被害者の救出運動も続けている。

日教組大会に抗議に出向くこともある。

領土問題に関して街宣も行う。

営利活動ばかりに精を出す神社を批判することもあれば、乱開発を進める企業に抗議することもある。

松田の信仰は「国土を守る」ことだ。そのためであれば、あらゆる活動に参加する。

昨年は、他の右翼関係者とともに中国を訪問した。現地の社会科学院(中国政府のシンクタンク)関係者と議論するためである。

領土問題や歴史認識をめぐって双方が激しくぶつかった。だが、いったん議論の場を離れれば、中国側のメンバーは北京の街を案内してくれたばかりか、夜には円卓を囲んでの酒宴も催してくれた。

時に戦争前夜のようにむき出しの対決姿勢を見せながら、しかし一方で、顔を合わせての言論戦も展開する。

外部の人間には見えにくいが、右翼には独自のパイプと"戦場"があるのだという。

硬軟取り混ぜての活動は、穏やかに私と会話しながらも、憤りが沸点に達すれば企業襲撃も厭わない松田の人間性とも重なる。

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