26歳の右翼活動家は、なぜ保守系出版社を襲撃したのか

右翼と愛国 若手民族派の思考回路
前回の記事「38歳、女性右翼活動家がアメリカと断固闘い続ける理由」が大反響を呼んだ、若手右翼の実像に迫るルポ第2弾。新刊『「右翼」の戦後史』を著したジャーナリスト・安田浩一が、「ちょっと意識の高い若者」にしか見えない、だが、「ある意味で、筋金入り」の若手活動家の半生を描きます。

覚悟の抗議活動

2016年5月4日夜、右翼団体「天誅塾」(本部・山梨県)に所属する松田晃平(26歳)は、新宿駅近くのディスカウントショップ「ドン・キホーテ」で消火器とペンキ缶を購入した。

総計5000円の買い物である。

おなじみの黄色いレジ袋をぶら下げたまま、松田が向かったのは、月刊誌『WiLL』などを発行する出版社「ワック」が入居する千代田区内のオフィスビルだった。

 

普段であればビル玄関はオートロックで施錠されているが、なぜかこの日はドアが開けっぱなしになっていた。「運命が味方している」と感じたという。

建物内に入ると一気に階段を駆け上がり、「ワック」のフロアに達した。

すでに夜の10時半。社内に人の気配はなく、さすがにここでは、入り口のガラス製ドアはロックされていた。押しても引いても開かない。

躊躇することなく、ガラスドアを消火器で叩き割り、社内に侵入した。

ジリジリジリ。警報機が作動した。

悲鳴のような警報音が響き渡る。

それでも、まるで何年間もこの"作業"を続けてきたかのように冷静だったという。

あたりかまわず消火器を噴射した。

さらにペンキを床にぶちまけた。

最後に『Will』の廃刊を要求するビラをばらまいた。

警察官の第一声は・・・

すべてを終えると、松田は自ら110番通報した。

──出版社に消火器をぶちまけました。自首したいのですが。

そう告げると、警視庁の担当者は「はい、ではすぐにうかがいます」と、宅配ピザ店の従業員のように事務的な対応で返した。

数分着、近くの派出所から警察官が駆け付けた。

警察官の第一声は「何か、危ないものとか、持ってる?」だった。

少し考えてから松田は答えた。

「危ないものは、もう使ってしまいました」

松田は建造物侵入の容疑で逮捕された、

その後、裁判で懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡されることになる。

関連記事