変動金利で住宅ローンを組む人は、実は破産予備軍かもしれない

「バブル」の現状ではリスクが高い
加谷 珪一 プロフィール

銀行も金利上昇を予想している

金利が安い時に変動金利でローンを借りれば、当面の返済額を低く抑えることができる。変動金利の住宅ローンは、金利に連動したデリバティブ商品のようなものであり、一種の「賭け」である。こうした商品が持つリスクを十分に理解した上で変動金利のローンを組んでいるのであれば、何の問題もないだろう。だが現実はそうではない。

住宅ローンを組む人のすべてが資金的に余裕のある状態とは限らない。限度一杯までお金を借りたいと考える人も多く、そうなってくると、月々の返済額は収入ギリギリに設定せざるを得ない。このような状況では、目先の返済額を低く抑えることができる変動金利型の商品は魅力的に映る。将来、金利が上昇した場合、返済額が増えるというリスクについては過小評価しがちだ。

 

銀行側もこうした事情はよく理解しており、黙って銀行のカウンターに座れば、当然のように返済額を抑えられる変動金利型の商品が出てくる。それどころか、完全固定金利の商品は顧客が強く要望しないと紹介されないことも多い。

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だが、銀行のこうしたスタンスが何を意味しているのか、冷静に考えれば理解できるはずだ。

銀行が固定金利の商品を勧めてこないのは、かなりの確率で将来、金利が上がると予想しているからである。一般的に固定金利の方が金利は高いが、もし銀行が今後も低金利が継続すると考えているのであれば、儲けの大きい固定金利を勧めてくるはずだ。

目先の金利収入を犠牲にしても、変動金利もしくは固定期間が短い商品を勧めてくるということは、近い将来、金利が上昇すると見込んでいる何よりの証拠だ。

実際、銀行は金利上昇に備えた措置を着々と実行している。金利が上昇すると、銀行が保有している国債価格が下落するリスクがあるが、下落幅は償還までの期間が長いほど大きい。かつて銀行は長期債を大量に保有していたが、現在ではほとんどが短期債のみのポートフォリオとなっている。これも金利上昇を警戒しての措置だ。