「ペットと避難」をあきらめないために知っておくべきこと

ぜひこの手順のシミュレーションを!
友森 玲子 プロフィール

躊躇は、人も動物も不幸にする

災害時は、人間の避難先も環境や整備も不十分だ。厳しい環境の避難所が多いため、ペットと一緒に避難することをためらってしまう人も多い。

また、実際災害が起きていない人たちは危機感があっても、「ペットとの避難は大変なのはわかっている。でも、災害が起きたらそれはそれで。きっとどうにかなるだろう」と対策ができてないのが現実だ。

しかし、災害は突然起こる。「迷惑がかかるのも嫌だし、もう少し家にいようかな……」と躊躇する気持ちも理解はできるが、危機が迫ってから犬や猫を入れたキャリーバッグを抱え、逃げるのは非常に厳しいものがある。愛するペットばかりか自分の命も危険にさらされてしまうことにもなってしまうのだ。

ペットがいるからこそ、躊躇するのではなく、早めの判断、早めの行動で、ペットと避難することを考えておいてしてほしいと思う。

 

同行避難と同伴避難は大きく違う

この「ペットと避難」に関しては、環境省が2013年に『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』を作成した。これは、東日本大震災でペットと避難問題が浮上し、はじめて自治体が作ったガイドラインだ。

しかし、2016年の熊本地震で、さらに課題が生まれたこともあり、今年の3月に名称も『人とペットの災害対策ガイドライン』と変更し、改訂版を出したばかりだった。

ちょっと長いが、細かく書かれているこのガイドラインには、行政の姿勢だけでなく、基本行動、持ち物なども詳しく書いてある。ペットと暮らしている人であれば一読しておくべきだと思う。

このガイドラインのポイントとなるのは、“同行避難”と“同伴避難”の意味の解説だ。熊本地震では、このふたつの言葉が混在し、飼い主たちを困惑させた。1文字しか違わない言葉だが、実は意味は大きく異なる。

“同行避難”は、「飼い主がペットを連れて、指定緊急避難場所などに避難すること」で、飼い主とペットがまずは安全な場所に避難することを意味している。環境省も、飼い主とペットの命を守るために、この“同行避難”を推奨している。

ところが、避難所に行くと、人は室内に案内されるが、ペットは外だと言われ、室内でいっしょに過ごすことは不可能だと告げられ、飼い主が困惑や失望する事態が発生してしまった。

避難所でペットをそばに置いていっしょに避難生活することは、正式には“同伴避難”と呼ばれている。同行避難した先の避難所で、ペットと同伴避難ができるかは、自治体や各避難所ごとの判断になる。

今回、総社市の同伴避難所が話題になったが、取り組みとしてはまだまだ少数派。「ペットを受け入れる=同伴避難」ではないということは頭に置いておくべきだ。

ペットとの避難の実態

「ペット受け入れ可」と言っている避難所の多くは、人とペットの避難エリアは別。避難所には、動物が苦手な人もいれば、動物アレルギーの人もいる。また、ニオイを気にする人もいる。

そういった問題を緩和するために、人の環境と離れた校庭や駐車場などにケージを置いてペットスペースを作ることが多いようだ。

設備は、日よけのビニールシートなどがある程度。真夏の場合、熱中症などの問題も発生しがちだ。避難所の規模や環境にもよるが、猛暑や極寒、豪雨の中、野外環境はペットの健康を損なってしまうこともある。避難環境が厳しい場合は、早めに避難所運営者や自治体などに、少しでも改善できるスペースの確保や工夫を交渉していくことも必要かもしれない。

今回の災害でも、獣医師会や動物愛護ボランティアなどの協力で、無料の一時預かりなどの動きもでてきている。そういったサポートを利用するのもよいだろう。

また、一旦同行避難した後、自宅が倒壊や浸水などの危険がなければ、“自宅避難”もひとつの選択だ。自分が住んでいる自治体ではどんな可能性があるか、を事前に調べておくこともおすすめしたい。