〔PHOTO〕gettyimages

米中貿易戦争で、中国側の反論がほとんど聞こえてこない「ある事情」

中南海で一体なにが…?

「アメリカの行為に驚きを禁じ得ない」

北京が何かおかしい、何かが起こっている――。

7月6日に「開戦」した米中貿易戦争は、同日アメリカが340億ドル分の中国産品に対して25%の関税をかけ、中国も対抗して同額のアメリカ産品に25%の関税をかけた。この「第一ラウンド」までは、明らかに中国側は威勢がよかった。

ところが先週10日、米トランプ政権が新たに6031品目、2000億ドル相当の中国産品に10%の追加関税を適用していくという方針を発表した。家具、カーペット、自転車、スキー板、トイレットペーパー、ハンドバッグ、ペットフード……もう中国製なら何でもありといった感じだ。

これに対して、中国側がどのような反撃に出るのかに私は注目していた。昨年の米国からの輸入額が1539億ドルしかないため、2000億ドル分への「相応の対抗措置」が取れないためだ。

〔PHOTO〕gettyimages

すると7月11日午後12時10分、商務部が短い報道官コメントを発表した。全文は、以下の通りだ。

〈 アメリカ側が加速度的にレベルを上げて追加関税を発表していることは、完全に受け入れることができず、厳正なる抗議をここに表明する。アメリカの行為は現在、中国を傷つけ、全世界を傷つけ、アメリカ自身をも傷つけている。このような理性を失った行為は、人心を得ることはできない。

中国はアメリカの行為に驚きを禁じ得ない。国家の核心的利益と国民の根本的な利益を維持し保護するため、中国政府は一貫して、必要な対抗措置を取らざるを得ない。それと同時に、国際社会に対して共同努力を呼びかける。そして共同で、自由貿易の規則とグローバルな貿易体制を維持、保護し、共同で貿易覇権主義に反対していく。同時に即刻、アメリカの一国主義の行為に対して、WTO(世界貿易機関)に追加で提訴する 〉

 

中国政府の公式声明を全文掲載

翌12日夜8時半には、正式な「商務部声明」を発表した。今度は詳細な反論だった。トランプ大統領をはじめ、アメリカの言い分は声高に聞こえてくるが、中国の言い分はなかなか響いてこないため、以下、全文を訳出する。

〈 1.アメリカが、中国が経済貿易の往来の中で不公平なやり方を行っていると汚く侮辱し、有利な立場を取ろうとすることは、事実の歪曲であり、地に足が付いていないものである。アメリカは、国内政治の需要と、中国に圧力をかけて発展していこうという目的で、中米の経済貿易関係の真相となる政策ロジックを一式歪曲することを造作した。

事実上、アメリカの社会、経済の中にある深層の問題は、完全にアメリカ国内の構造的な問題から起こったものである。中国経済の成功は、そもそも対外的に「重商主義」的な行いで得たものではない。またいわゆる「国家資本主義」の成功によって得たものでもない。そうではなく、市場化改革を確固とし推進し、対外開放を不断に拡大した成功によるものだ。

まず第一に、「貿易の不均衡問題」について述べる。アメリカは、中国との大量の貿易格差が存在していると主張する。だがその数字は誇張されているし、主要な原因は中国にはない。アメリカ国内の貯蓄率が低すぎて、米ドルは国際的に主要な準備通貨の機能を果たしているため、産業競争力と国際的な分業の差異が生じることによるものだ。

またアメリカが冷戦的な思考から出発し、高技術産品の輸出に人為的に制限をかけることによって、自身の比較的優位な立場を享受しようとしていることによるものだ。

第二に、いわゆる「知的財産権の盗用」問題について述べる。中国政府はすでに、相対的に完備した知的財産権の法律や保護システムを作り上げている。かつ不断に知的財産権の司法的な保護を、主導的に行っている。そして知的財産権裁判所及び専門的な審理機構の設立を推進している。2017年に中国が対外的に支払った知的財産権の使用料は、286億ドルに達し、2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟した時の15倍以上になっている。

第三に、いわゆる「強制的な技術移転」の問題だ。中国政府は、外資系企業に対してこの種の要求を行ったことはない。中国企業と外国企業の技術提携や、その他の経済貿易上の協力は、完全に個々の企業間が望んで交わした契約行為に基づくものである。かつ長年にわたって、双方の企業が共に、莫大な利益を得てきた。

第四に、『中国製造2025』などの産業政策についてだ。市場経済の条件のもとで、中国政府がこうした政策を実施してきたのは、主に指導しリードするためである。かつあらゆる外資系企業に対して開放している。皮肉を込めて言えば、アメリカ自身が農業と製造業について大量の保護政策を行っている。