ドイツの景気がカギを握る、ECB「利上げの行方」

中国経済とも密接な関係

金融専門家の間で、ECB(欧州中央銀行)の金融政策に関する見方が割れている。焦点となっているのが、政策金利の引き上げ時期だ。今年6月の理事会でECBドラギ総裁は、来年の夏場にかけて現行の政策金利水準を維持すると表明した。つまり、来年の前半は、ユーロ圏の中銀預金金利はマイナス0.40%で維持される可能性がある。利上げの時期は、来年10月以降と考える市場参加者は多い。

一方、来年半ばの利上げがあると考える専門家もいる。その背景には、ECBは景気が回復局面にあるうちに利上げを行い、今後の金融緩和の“のりしろ”を確保したいとの見方がある。ただ、それを実行に移せるか否かといえば、かなり難しいだろう。特に、ドイツ経済の回復の勢い(モメンタム)が弱まっていることは軽視できない。

 

回復をけん引してきたドイツが…

ユーロ圏の景気回復をけん引してきたドイツ経済の回復モメンタムが弱まっている。イタリアの政治不安などの不確実性要因がある中、今後、ドイツの景気が上向くか否かは、ECBの政策判断に無視できない影響を与える。もしドイツの景気が軟調な展開をたどるとなれば、ECBが利上げなど、金融政策の正常化を進めることは難しくなるだろう。

ドイツ経済は、中国経済と密接にリンクしている。中国経済が上向くと、ドイツの景気も回復に向かう。2016年の半ばごろから中国政府は、公共投資などを増やし、景気の回復を支えた。それとともに、自動車産業を中心にドイツの景況感は改善し、景気は緩やかに回復したのである。それがユーロ圏全体の景気持ち直しにつながった。

逆に、中国の景気モメンタムが弱まると、ドイツを筆頭にユーロ圏の景気回復にはブレーキがかかりやすい。昨年の共産党大会の終了後、中国政府は公共投資を減らしている。それに加えて、中国政府は過剰債務の削減に取り組み、企業の資金繰りは悪化している。足もとでは米中の貿易戦争への懸念が高まり、中国本土市場から資金が流出している。

それが、ドイツの景気回復の足を引っ張っている。年初来から6月末まで、企業の景況感を中心にドイツの経済指標は低下傾向だ。それを追いかけるように、ユーロ圏の総合PMI(購買担当者景気指数)も低下している。当面、米中の貿易戦争は続くだろう。ドイツを中心にユーロ圏の景気のモメンタムがピックアップして行くとは考えづらいのが実情だ。

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