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有名人ばかりが住む南青山のマンションで「建て替え」をめぐり大騒動

隣人同士が挨拶しなくなり、脅迫状まで

建て替え推進派に脅迫状が

高級ブランド店が立ち並ぶ、東京・港区にある表参道の交差点から徒歩1分。通りを1本入った閑静なエリアに、12階建ての「南青山第一マンションズ」が佇んでいる。

'70年に建てられた茶色の落ち着きのある建物は、多くの有名人に愛されてきた。作家の向田邦子や大物財界人の平岩外四、現在ではコピーライターの糸井重里氏やCMディレクターの川崎徹氏らが居を構える。

築48年。このマンションでは、10年ほど前から建て替え計画が持ち上がってきた。外壁には「建築計画のお知らせ」という看板が設置され、7月1日から着工予定とあるが、その内部では、建て替え賛成派と反対派との間で、深刻なトラブルが起こっているのだ―。

このマンション、分譲棟と賃貸棟にほぼ二分され、賃貸棟は不動産会社「相互住宅」が保有している。同社はすでに賃貸住民の転居を促しており、マンションの半分はほとんど空き家で、日中は引っ越し業者がひっきりなしに出入りする。

建て替え計画は相互住宅が主導する形で、三井不動産レジデンシャル、新日鉄興和不動産と組んで進めているが、その方法があまりに強引で不透明だと、一部の住民が反発を強めている。

「今回の計画案では、区分所有者は同一面積の部屋に加えて、補償費100万円が支給されることになっています。しかし、計画を精査したところ、95%の面積しか保証されないように見えます。

また、22階建ての高層マンションにし、増床分をデベロッパーが売却して、工事費に充てるとしていますが、売却費の試算が相場に比べて安すぎる上に、258.7億円という建て替え費用の詳細を住民が求めても明示されません。

建て替え費用を抑え、増床分を高値で売れば、儲けは丸々デベロッパー側のものになる。住民への還元が十分ではないのではないか。ところが、こういった疑問にデベロッパーは真摯に説明しようとしません」(不動産会社を経営する地権者)

 

その一方で、「持ち出しなしで新築マンションに変わるのだから、良い話ではないか。早く進めてほしい」と話す住民もいる。マンションの建て替えには区分所有者の5分の4以上の同意が必要だが、現状では決議に至っていない。

同マンション内に公益財団法人「電磁応用研究所」を開設する早稲田大学名誉教授の富永英義氏はこう話す。

「私どもは建て替え自体に反対しているわけではありません。専門業者による一方的な計画案について問題だと捉えているわけで、透明性が確保された手続きを求めているだけです。

いまだ建て替えの決議がなされていない中で、賛成派の住民が他の住民を急き立てるように決議に向けて動いています。とても民主的な行動とは思えません」

デベロッパー側に質問したところ、「区分所有者の皆様の資産内容にも係るものとなりますので、回答は控えさせていただきます」(相互住宅)と答えるのみだった。

70代の住民が悲しげにこう打ち明ける。

「お互いが挨拶もしない冷たい関係になってしまいました。賛成派はデベロッパーからおカネをもらっているのだろうとか、互いを中傷するような諍いも頻発しています。

賛成派の住民に対して脅迫状が送られ、警察沙汰にもなっています。ポストに入れられた感情的な文言の躍るビラを見るのは、正直辛いです」