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「発達障害」の妻がお風呂に入ってくれなくて困る夫

凸凹夫婦の家庭改革メソッド【8】

現代ビジネスの好評連載を書籍化した『されど愛しきお妻様』。おかげさまで売れ行き好調ではあるのですが、「奇跡の夫婦の物語」と捉えられてしまったことが残念と同時に、もっと実践的な内容も盛り込めばよかった、と反省。というわけで、どんな「すれちがい」のあるご家庭にも応用可能な超・実践的スピンオフ連載待望の第8回です。

*バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/series/daisukesuzuki

セルフネグレクトの傾向がとても強い

だばだばにゃっぱー。本日も猫と共に起きてくる我が家のお妻様。

「(おは)よう~」

時刻は昼過ぎ、おはようの時間じゃないのはいいとして、相変わらず凄い寝癖というか、間違いなくそれは「実験に失敗した博士」の頭だな。

「おはよう妻よ、いいかげんその先週から着てる部屋着、洗濯したいんだけど。てゆうか昨日お風呂入ったの?」

「ん? あー。寝る前に猫がゲロしたyo」

「そうか。ゲロはいいから、お風呂は?」

「うー。入ろう入ろう思ってて、昨日も風呂入れなかった。挫折したぜちくしょー」

風呂に入るのに挫折するという表現、多分人生でそうそう耳にしないと思うよ妻よ。

 

さて、「不定型発達なパートナーでもいいじゃない♪」な感じの少々お気楽な展開が続いてきた本連載だが、今回定型サイドの僕のお困りごとは、少々深刻だ。「我が妻が風呂に入ってくれない!」である。

いや、代謝も体臭も極めて少ない彼女は風呂に入らずとも僕よりよっぽどこざっぱりしているので、ここで僕にお困りごと感はない。けれど、笑い事では済まないのは、彼女には単に定期的に風呂に入る習慣がないだけでなく、自分自身のケアをする習慣がほとんどない、つまり「セルフネグレクト」の傾向がとても強いことだ。

セルフネグレクト。孤独死やゴミ屋敷問題とか引きこもり問題と絡めて語られる事の多い言葉だが、ざっくり定義的には「生活や健康の安全を維持するためのセルフケアの能力や意欲が喪失しており、周囲にもその解決を頼れず孤立するような状態」ということになる。

お妻様の場合はどうか?

部屋を片付けられず、身の回りの衛生を保てない。

風呂に入らない。入らないのに、冬場は寒い~冷える~なんて日々言っている。

食べ物に気を遣わない(本当に好きにさせていれば1日1食、しかもジャンクフードやお菓子で食事を済ませかねない)。

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積極的な運動習慣がなく、体力高齢者級。

具合が悪くならないように工夫しない(炎天下に水分も取らずに出かけるとか)

具合が悪くなりつつある自分に気づいていないっぽい。

気づいた時には手遅れぐらいに具合悪くて、バッタリ倒れる。

書いていればきりがないが、このように彼女には食生活とか入浴やら疲れたら休むとか具合悪かったら薬を飲むとか医者にかかるとか、そんな日常の細々としたセルフケアで、「将来の自分の健康を担保する」という習慣が一切ないのだ。

朝方寝て昼起きて(朝方まで寝られんのは時間間隔の喪失が原因だけど)、全然自分のケアをせずにやりたいことだけをやり、それ見たことかでバッタリ倒れるし、そんなこんなで年中具合が悪い。

「ねえ、君は再発性の高い脳腫瘍サバイバーでしょ? 食生活とか健康管理ができなくて再発とか、別の病気になるとか、考えて怖くなることってないの?」

「んー。自分の事はあまり考えないよね。例えばほら、いつも思うのは、明日事故で死ぬかも知れないじゃんってこと。将来のことは考えられないよ。そのときにならないと考えられない、あたしは」

「ううう。でも健康でいて欲しいから自分のこと大事にして欲しいって俺の気持ちは? 結局俺が食事管理するのとかも、楽じゃないんだけど。せっかく作ったもの残さないで欲しいし、残すならお菓子とか買って来ないでほしい。寒いところから帰ってきたら風呂で体きちんと温めてほしいし、そんな運動不足が続いてると将来絶対骨粗しょう症とかになるよ」

「はいはい」(棒)

棒!? このように、お困りごとの主体は「妻の将来が心配な僕」と「全然自分を大事にしてくれない妻」のすれ違い。

なのだが、やっぱり今回も翻って、彼女は自己管理しないのではなく「自己管理できない」理由があるとしよう。ではその理由は何か。なぜ彼女は自分自身のことを全然大切にできないのか。

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