台湾の昔風食堂。廟の周りにつくられることが多い(著者撮影)

台湾で見つけた、日本人の心が洗われる「料理」

この夏、ひとり海外旅デビューをしよう
この夏はどこへ行こうか? ヨーロッパも素敵だけれど、手軽に行けるアジアがいいな――。とりわけ台湾は、ひとり旅デビューに最適だ。最新刊『おとなの青春旅行』にて、「中華四大料理を食べ尽くす」コースを紹介した旅行作家・下川裕治氏が、今度は台湾に飛び、福建料理や客家料理を食べ尽くした。

新刊トークイベント:下川裕治×室橋裕和「個人で愉しむ大人の青春旅行」開催!

2018年7月25日(水) 19:30~(19:00開場)

旅の本屋「のまど」(東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1階)

ご予約はこちらから→http://www.nomad-books.co.jp/

犬が去って豚が来た


自由な時間を手に入れ、気ままな個人旅行を考えている人に、よく台湾をすすめる。台湾でひとり旅デビューというわけだ。

若い頃、海外を歩いた経験のある人は、「台湾なんて、若い女の子が週末に行くところだろ?」というかもしれない。

しかし世界は30年、40年前とはずいぶん違う。その意味でも、再デビューは台湾あたりにしてみるといい。

 

台湾は親日的だから……という人も多いが、台湾はそう簡単なエリアではない。台湾にはこんな言葉がある。

──犬が去って豚が来た。

第二次大戦後の台湾で密かに交わされたものだ。犬とは日本、豚とは中国からやってきた中国国民党である。もともと台湾にいた人たちを本省人というが、彼らの目には、日本や国民党はそう映っていたのだ。

親日といっても、それは国民党との比較のレベルであって、彼らにとって日本は犬なのだ。台湾人は笑顔で日本人を受け入れてくれる。しかしその笑顔の背後にあるものは、複雑で、いくつにもねじれている。

台湾・新竹市の老舗で、新竹ビーフンをいただく

宿は予約しない

台湾をすすめる理由は、使われている言葉である。漢字なのだ。話すことも、聞くこともできないが、日本人は意味がわかる。

中国本土は簡体字という略した漢字が使われる。それに対して、中国は繁体字。日本人が使っている漢字に近い。

自由旅の基本は、宿を予約しないことだと勝手に思っている。たとえば台湾の台南を訪れる。清の時代、漢民族が台湾を開拓した時代、そして日本時代。その建物が残っている。

もう少しこの街にいたいな……と思っても、その日の宿を高雄にとっていたりすると、移動しなくてはいけなくなる。宿を事前に予約することで、旅の気ままさが失われてしまうのだ。

もしその日の宿を決めていなかったら、台南で宿探しをする。「旅社」という文字が目に入る。きっとここは宿だろう。「青年宿」という看板がある。これはいまの若者向きの宿かもしれない。ゲストハウスという宿か……などと想像力を働かせることができる。

漢字の意味がわかる強み。それが台湾で発揮されるわけだ。こうして、少しずつ、いま風の旅に染まっていく。自由旅の感覚をとり戻していくには、台湾はいいエリアだと思う。 

幸い、日本と台湾の間は、多くのLCCが就航している。安い便を見つければ、片道1万円を切ることもある。日本の国内旅行より安い足代かもしれない。