# マネジメント # フィードフォワード # 企業・経営

断言しよう、PDCAサイクルはもう「時代遅れ」だ

自然と成果が上がる「FFA」とは?
久野 和禎 プロフィール

PDCAが時代遅れになってしまった理由

さて、いよいよPDCAと「フィードフォワード」→「アクション」(FFA)プロセスの比較です。

PDCAの何が一番の問題かというと、本質的にPDCAは「最善の現状」を目指したものであるという点です。このことを「現状の最適化」と呼んでいます。

PDCAの場合、「PLAN:計画」が、過去の積み上げからの計画になることがほとんどです。過去からの延長線上ですから、想定しうる「最善の現状」が目指すところです。
「最善の現状」というのは最善ではあってもしょせん現状の一部ですから、そこを目指している限りにおいて、「現状維持」です。

これでは、クリエイティビティを発揮したり、イノベーションを起こしたりすることは不可能です。何か新しいことをしたいのなら、現状の外の高いゴールを掲げる必要があります。

 

それに対してFFAプロセスは、現状を超えた未来の創造を目指します。FFAプロセスの「フィードバック」に内包されている「ゴール設定」が「現状の外のゴール」を要求するからです。

これは認知科学の発見なのですが、人間の脳は「現状の外のゴール」を設定することで活性化され、そこに向かう強いエネルギーを生み出します。FFAプロセスは、現状の外のゴール設定を前提とすることで、個人や組織が高いクリエイティビティを発揮してイノベーションを生む可能性を飛躍的に高めます。

また、「PLAN:計画」は、よくて現状のベストであるとともに、たいていの場合は「去年はこれができなかったから、今年はこうしよう」というような反省モードでの計画策定となります。「反省」によってテンションは下がり、かつ現状の延長線上のゴール設定になり、結果として、脳が現状を変えるために必要なエネルギーを生み出すことができず、前に進むのがとても重たくなります。

環境変化が激しい現代にあって、「現状の最適化」程度を目指すようでは、変化した環境に適応できず苦しい経営になることは容易に想像できます。これが、PDCAが今の時代に古くなってしまったという理由です。

また、PDCAは人間の本来の性質にあったものではありません。人間は「思いついて、実行する」ようにできています。まさにFFAです。あるいは、PDCAの「P」と「D」です。そこに、「CHECK:評価」や「ACT:改善」を入れるのは、こうしたらいいだろう、というあとづけです。

本来の性質にあったものではなく、無理に行うので、PDCAを回そうとすると「~しなければならない」モードで仕事をすることになります。

私たちはこの「~しなければならない」を、have toと呼んでいます。これに対して「自ら進んでやりたい」状態をwant toと呼びます。実は、人間はhave toだと脳がうまく働かず、高いパフォーマンスを生み出せないようにできています。そのため、成果を上げるためにhave toをなくし、できるだけwant toで仕事をすることを目指します。

PDCAは、その性質上have to で仕事をすることを求めるものなので、クリエイティビティやイノベーションからはどんどん離れてしまうのです。

このように、FFAプロセスはごく自然で、しかも脳の働きに沿ったアプローチです。
新しい考え方のため、もしかしたら抵抗を感じるかもしれませんが、ごく自然にパフォーマンスが上がる方法ですので、ぜひ取り入れてみて頂きたいです。

最後になりますが、もう一つ重要な要素として、FFAプロセスでは「無意識」を大変重視しています。呼吸や消化など、生きるために最低限必要な行為を含め、私たちが行う活動のほとんどは「無意識」の担当領域です。意識的に行っていることはごくわずかです。

ですから、「無意識」が望ましい形で働いてくれるように訓練することが、仕事のパフォーマンスや人生の幸福度に直結してきます。「フィードフォワード」及び「FFAプロセス」は無意識の力をフルに発揮して、頑張らなくても成果を上げられる、そんな自分と周囲を作ってくれる、新しい考え方と技術なのです。