「奴隷的環境」で働かせるのに、外国人労働者増を目指すこの国の奇妙

50万人受け入れるとは言うけれど…
山下 知志 プロフィール

ベトナム人が中国人を抜いていまやNo.1

日本で働く技能実習生は、主にアジアの国々からやってくる。制度は1993年に始まった。各国にある送り出し機関が、現地で実習生を募り、日本の受け入れ機関(農協や漁協、商工会などの非営利団体)が実習先である企業や農家、水産加工業者などの事業所に、技能実習生として斡旋する仕組みだ。

企業が直接、現地法人などを通じて、実習生を受け入れる仕組みもある。就労期間はどちらも最長5年だ。彼らは、全国各地の4万7000の事業所で働いている。

 

技能実習生でもっとも多いのはベトナム人だ。その数12万4000人。2015年は5万8000人だったので、2年足らずで2倍以上に増えている。それまで、ずっと首位を走ってきた中国人は、2012年の11万人をピークに減少。昨年は7万8000人となった。

ベトナム人の台頭が著しいが、なぜか。親日国というお国柄もあるが、日系企業の進出が相次いでいることもあって、現地では日本ブームが起きており、日本語学校も林立しているという。また、国を挙げて労働者の海外出稼ぎを推進している。外貨獲得と家族への仕送りで、国内消費を拡大させるのが狙いでもある。

もっとも悩ましいのは、技能実習生の失踪が再び増加していることである。2015年に5803人の失踪者をピークにいったんは減ったが、昨年は7089人と再び増加に転じた。

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ベトナム人は、失踪者数でも断トツの3751人である。2016年の2025人から1700人以上も増えている。逆に、かつて失踪者数で独走していた中国人技能実習生は、昨年1594人と、ピークだった2015年の3116人から半減している。これは中国人の技能実習生の減少が影響している。

失踪者が続出する最大の理由は、「技能実習生を受け入れる事業者が、彼らを安い労働力としか見ていないことが根底にある」(受け入れ機関関係者)

それはデータからもわかる。「2017年に外国人技能実習生が働く事業所に対し、調査を実施しています。調査した5966事業所のうち、4226事業所で違法残業や賃金未払いなどの法令違反を確認しました」(厚生労働省関係者)

調査した事業所の実に7割が法令違反を犯していたのだ。前年比で5.5%増、4年連続で過去最多を更新した。もはや違反だらけといっていい。

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