Photo by iStock

五重塔、実はああ見えて「一階建て」だった

なんで倒れないのか

どうみても5階建てだが…

古くより日本を象徴する建築物「五重塔」。

有名どころを挙げるならば、木造建築物としては日本一の高さを誇る京都・東寺の五重塔や、1300年以上前に創建された世界最古の木造建築物として知られる法隆寺の五重塔。いずれも、外国人観光客にも人気の高いスポットだ。

ところで、今にもフラフラと倒れてしまいそうな高さ、しかも木造だというのに、なぜ五重塔は倒壊せずにその姿を今に残しているのか。それも、地震大国と呼ばれる日本で、だ。

その謎を解くカギは、五重塔の建築構造にある。

まず、一般的な木造建築にある、建物全体を支える大黒柱が五重塔には存在しない。「心柱」と呼ばれる塔の中心を貫く柱はあるものの、塔の一番上の屋根にのみ、わずかに接しているだけなのだ。

 

加えて特筆すべきは、1階に見える部分はいわゆる床のある構造になっている一方、2重目より上は単なる屋根の付いた複雑な木組みの構造物でしかないということ。

内部は吹き抜けで、階段があるわけでもなく、上層に登ることはできない仕組みになっている。つまり、外から見る限りは、どう見ても5階建ての建物に見える五重塔だが、言わば、屋根だけを5つ積み重ねた“1階建て”の平屋なのだ。

こうした造りがいかにして高い耐震性を持つに至るのか。

決定的な科学的根拠はまだ明らかとなっていないが、どうやら心柱が塔の変形や揺れを抑制する効果があるのだという。加えて、屋根の大きさが下層部から上層部に向かって絶妙な比率で小さくなっていることで、バランスを保っているとも言われている。

余談ではあるが、5階建ての五重塔も存在する。それは、中国や韓国などにある「楼閣形式」と呼ばれる、人が各階に出入りできる五重塔だ。

伝説のアクションスター、ブルース・リーの遺作『死亡遊戯』で、ブルース・リーが塔を登って行き、各フロアで待ち構える格闘家と死闘を繰り広げるあの名場面で使われている。ぜひ時間のある時に、確認してもらいたい。(栗)

『週刊現代」2018年7月21・28日号より