〔→第1回はこちら gendai.ismedia.jp/articles/-/56401 〕
〔→第2回はこちら gendai.ismedia.jp/articles/-/56413 〕
——VALUは本当にぼくもわからないんですよね……。勝手に自分に値段がついて、VALUを発行できる。株みたいなもんですね。売買はビットコインでやるんですけど、とりあえず100くらい発行してみたら20人くらいが買ってくれて、なんかこわいなと思って放置していたら、値動きがない。そうなると買いも売りもなくて……何の意味もないんです。何を買われたのかもわからない。
楠 なるほど。
——他のひとのを見ていると、毎日値段が動いているんですよ。盛んに取引されているのは有名人のものなんですけど、無名の人でもメッセージ機能や株主優待みたいな特典機能を充実させて頑張ってる。ぼくみたいに止まっちゃうと、なにも動かないですね。
楠 いまもめろんさんの株主はいるんですか?
——います。今は11人ぐらい。知り合いが多いんです。
楠 知り合いならたぶん何も言われなさそうですね。VALUはちょっと謎なところが多いですね。たしか岡田有花さんがVALUを発行して買い戻したっていうのが話題になってました(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/04/news024.html)。
あれは構造上、たくさんの人が入ってくればそのまま値段が上がっちゃう仕組みなので、参加者が増えれば上がっちゃうんですよ。そこからどうしたいのかはちょっと見えないですね。
——一応ビットコインで売買してるのでなんか新しい気はするんですが、日本円でもなんら変わらないんですよ。ネットでは、お金よりも信用やその人の価値のほうが価値があるからそっちを取れ、っていう論調もあるじゃないですか。
楠 評価経済ですね。
評価経済という考え方は、個人の人柄や信用や評価のほうがお金よりも価値を持つと主張している。逆に言えば、これまでお金に換算できなかった人柄や評価がお金になるということでもある。
VALUは誰でもすぐに評価経済に参加できるシステムだと思うのだが、評価経済は普通の経済よりも残酷だ。なぜなら、人気者や頑張ってる真面目な人しか生き残れない。ぼくみたいに頑張りたくない適当な人間には辛い。
ビットコインやブロックチェーンといった技術を使うことによって、もうちょっとおもしろいサービスができたり、生活がよくなるというシナリオはないのだろうか?