東海第2原発、本当に「こんな状態」で再稼働させるつもりですか

そうか、狙いは別のところにあるのか…

先週水曜日(7月4日)、原子力発電所の再稼働を巡って2つの大きな動きがあった。一つは、関西電力の大飯原発3、4号機に関する運転差し止め訴訟で、名古屋高裁金沢支部が一審判決を取り消して再稼働を支持する判決を言い渡したことだ。

もう一つは、原子力規制委員会が、日本原子力発電の東海第2原発の再稼働の前提となる安全審査で、事実上の合格証となる「審査書案」をまとめたことである。

一見すると、どちらも、東日本大震災の際に東京電力が引き起こした福島第一原発事故以来、一時は完全にストップしていた原発の再稼働が着実に進んでいる表れに見えるかもしれない。

しかし、実態はまったく違う。大飯が地元の同意を背景に運転正常化の道を確立しつつあるのに対して、東海第2はかなりの無理筋だろう。

こうした事態が起きる元凶は、「縮原発」と言いながら、「安全が確認された原発は再稼働する」という政府の2枚舌だ。あの悲惨な原子力事故から7年以上が経った今、そろそろ、こうした矛盾を解消して、まともな戦略を組み立てないと、経済や暮らしを支える電力がおかしくなりかねない。

 

安全対策費、1800億円

まず、2つの動きを振り返っておこう。

大飯原発を巡る判決は、3、4号機の運転差し止めを命じた一審の福井地裁の判決を取り消して、原告・住民側の請求を棄却する判決であり、原告・住民側の逆転敗訴となった判決だった。

名古屋高裁金沢支部の内藤正之裁判長は判決で、「わが国の法制度は、原発を一律に有害危険なものとして禁止せず、重大事故が生じて放射性物質が異常に放出される危険などに適切に対処すべく管理、統制されていれば、原子力発電を行うことを認めている」「このような法制度を前提とする限り、原発の運転に伴う本質的・内在的な危険があるからといって、それ自体で人格権を侵害するとはいえない」としたうえで、「原子力規制委員会の新規制基準に違法・不合理はなく、大飯原発が同基準に適合するとした判断にも不合理な点はない」と指摘。「大飯原発の危険性は社会通念上無視できる程度にまで管理・統制されている」と判断した。

福島第1原発の事故を受けた新規制基準の下でこれまで、各地で原発再稼働の是非を巡る訴訟や仮処分の申し立てが相次いだ。中には、四国電力の伊方原発のように、一部で稼働を認めない判断が出ているため、高裁レベルの判決が広く注目を集めていた。

仮に最高裁までいく訴訟が起きて別の判断が出れば事態は大きく変わるだろうが、現段階では、今回の判決が大飯原発の再稼働を確固たるものとするだけでなく、各地の裁判の行方にも大きな影響を及ぼすケースになるとみられている。

これに対して、東海第2原発を巡る審査では、原子力規制委員会が、同原発の安全対策の基本方針を福島第1原発事故後に定めた新規制基準に適合するものと判断した。今後の手続きとしては、一般からの意見公募などを経て、合格を正式決定する運びとなっている。

規制委員会の安全審査の合格は全国で8原発15基目。福島第1原発と同じ「沸騰水型」の原発としては、東電柏崎刈羽原発の6、7号機に次ぐ2例目となった。

ちなみに、東海第2原発は出力110万キロワットの大型原発だ。

安全審査の過程では、日本原電が約1800億円にのぼる安全対策資金を確保できるのかが大きな焦点となり、大株主の国の意向を受けた東電ホールディングスと東北電力から支援の意向を取り付けて、なんとか審査をパスした経緯がある。

日本原電は今のところ、安全対策工事を進め、2021年以降の再稼働を目指す方針を掲げている。

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