メリット4 「後手の対応」が「先手の対策」へ変わる

マネジャーにとって、部下固有の問題や人間関係の問題など人材マネジメントコストはばかになりません。しかし1on1を普段から行い信頼関係を築き、上司と部下のコミュニケーションのパイプを太くしておくと、1を伝えて10が伝わるようになったり、事故が未然に防げたりと、結果として人材マネジメントコストが軽減されていきます。

人材マネジメントとは、人と組織の管理です。部下の心身状態や、能力・キャリア開発、目標設定や評価などを行います。

実は、この人材マネジメントに関するテーマはすべて1on1ミーティングの場で話されます。1on1をしっかり回して、これらの方向性を決めて進捗を追っていけば、 人材マネジメント業務に関して言えば、ほとんどやるべきことはないといっても過言ではありません。

逆に、1on1を行っていない現状はどうなっているのでしょうか? これらの人材マネジメント業務がすべて「後手」に回って、マネジャーはその対応に追われる「忙しい」日々になっているのです。

知らない間に部下が身体やメンタルを病んで休職になり、人手が足りない事態に陥る。あるいは、意図した成長支援を行っていないので、 部下が仕事を任せきれるまで思うように育っておらずに、自分がプレイヤーのままでいる。また、部下は努力しているけれど、部署の進むベクトルとは違う案件を取ってくるなど無駄な努力をしてしまっている。さらに、突然退職を言い出した部下の対応 に追われるなど、後手の対応を人材マネジメントと呼んでいる組織も多いのが現状です。

普段から1on1を確実に行えていると、日々の現場で起こるコミュニケーションもお互いの勘所がつかめて早くなり、「後手の対応」から「先手の対策」に変化していきます。ですので、忙しいから1on1する時間がない、という考え方から、1on1を行うことで業務を楽にしていくという考え方にシフトしていくことができます。

メリット5 部下が上司に話しかけやすくなる

1on1を行うと、そのときだけ部下が「報連相」をすることになって、普段のコミュニケーションが少なくなるのではないか? という質問をいただくことがあります。しかし実際は、これとはまったく逆の現象が起こります。日常の部下からの「報連相」が増えていくのです。

一般的には、部下から上司に話しかけに行くというのは少し負荷がかかるもので頻繁には行けません。さらに、その相談内容がまだ切羽詰まっていないならば、部下は「上司は忙しそうだ」という言い訳を自分に与えて、相談しに行くのを先延ばしにします。なぜなら、話を理解してもらうために、様々な背景から話さなければならず、時間がかかってしまうと思うからです。気を遣う部下であるならばなおさらです。

例えば、部下が今抱える問題状況を「まだ大丈夫」と自分では判断していたけれども、思っていたより事態が深刻で大問題になるということがよくあります。これは、部下が問題の全体 が把握できておらず、影響範囲の想像がついていないのが原因です。「何でもっと早く言わなかったの?」という言葉を一度は口にしたことのあるマネジャーも多いのではないでしょうか。

ところが、1on1で部下の仕事の進め方や、 状況をタイムリーにつかめていると、「トラブルが起きまして……」と突然部下から話がきても、その背景をすぐに把握できるので、部下も安心して話しかけやすいのです。

実際に、1on1を実践している部下に話を聞くと、「上司に話しかけやすくなった」「ちょっといいですか? が、とっても言いやすくなって問題が未然に防げるようになった」と口を揃えて言います。

結果として、問題が複雑化、深刻化する前に手を打てるので、多くの見えないコストが削減できて、部下との信頼関係を築けるという素晴らしい結果が手に入るのです。