いま話題の「プログラミング言語を使わない」プログラミングとは何か

テックママの工作作家に聞く「親の心構え」
太田 志保 プロフィール

小1の壁対策のワークショップ

ここで、小1の授業時数を見てみましょう。

8教科で850時間。その3分の1以上を国語が占めています。国語と算数を合わせると半分以上になります。

我が子が小学1年だった5年前、「毎日座って本を読むのばかり」と泣き、登校を拒むことがありました。いわゆる「小1の壁」です。理由を聞くと「なんのために本を読むのかわからない。つまらない」とのこと。

母(筆者)は作戦を練りました。その作戦は、お友達を交えてのワークショップの開催です。作るのは、電池無しでも光る電磁誘導を用いたライトです。用意したのは、小1の子どもでも自分で読めるような「ひらがなの作り方ブック」と「材料」。子どもたちは作り方ブックを読みながら、電磁誘導ライトを次々と完成させました。

電磁誘導を学習するのは高校です。小1には大変難しいテーマです。ですが、「友達と一緒にライトを作る」という体験の楽しさが、難しさを超えました。もちろん子供は電池がないのにライトが点くことを不思議にも思います。それに対する筆者の説明は

「空気の中に電気の赤ちゃんがいて、このしかけで集められるんだ。このしかけの仕組みは高校で習うから楽しみにしててね」

と、なんともアバウトなものです。最後に

「文字を読めると本が読める、作り方が読める。もっと面白いものが作れるよ」

と、伝えてワークショップを終えました。

【写真】ワークショプの様子1
【写真】ワークショプの様子2

この経験をもとにして、筆者は小学校低学年の向けのワークショップを開催するようになりました(そのうちのふたつが『作って遊んで科学を学ぼう! 手作りロボット』という書籍になっています)。

「小1の壁」対策とプログラミング教育

プログラミング教育も、小1の壁の突破口になり得るのではないでしょうか? 前出の「プログラミング言語を使わない」プログラミングツールも、最初のハードルは低いのですが、進んでいくとだんだん難しくなります。

諦めずに何度も挑戦すること。全然思ってない動きになった可笑しさ。そして自分の思い描くようにできた時の喜び。それらのトライアンドエラーの繰り返しのなかで、論理的に整理していく。これが、プログラミング教育が育もうとしている力です。

多くの子どもたちはプログラミング授業を楽しみにすることでしょう。プログラミングのような、トライアンドエラーのサイクル(「考える、試す、結果が出る」)が短いものは単純に楽しいからです。

プログラミングには決まった正解はありません。自分が作りたいと思ったものを作れることが正解です。子どもが作り方に悩んだとき、聞く相手は親ではなくインターネットです。親はインターネットでの検索の仕方を教えてあげてください。

インターネットで得る情報は大抵大人向けに書かれています。国語の読解力が必要なことを子ども自身が体感できることでしょう。

「なんのために勉強するのか?」
「自分が作りたいと思ったものを作れるように勉強する」

実際のところ、プログラミング教育が始まったら、むしろ国語の学習がそれ以前よりも意欲的になるのではないかと、期待交じりに予想しています。

作って遊んで科学を学ぼう! 手作りロボット

【書影』手作りロボット

太田 志保 著
小学校1〜3年生向け、付録キットで2種類のロボットが手作りできる。アレンジ次第でオリジナル作品に。夏休みの自由工作に!