さあ、自由かつ冒険的な極上旅で「青春」を取り戻そうよ!

海外ひとり旅にどっぷりハマる理由
室橋 裕和 プロフィール

個人で旅をしている人々は、こんな毎日を穏やかに紡いでいく。宿を求めてそこで眠り、街角の食堂で土地の人に混ざって腹を満たし、なにごとかを見て考え、そして移動していくという、きわめてシンプルな日々は、実に豊かなのである。

異国をゆったりと流れながら生活をしていく。これほど満ち足りた時間はいままでの人生で果たしてあっただろうかと、きっと思う。

そんな感覚は、旅が長くなるほど強くなっていく。

 

個人旅行は増えているが……

日本人のあいだにバックパッカーという旅行者が急増したのは、1990年代後半から2000年代のことだ。若者たちは大きなザックを背負って、アジアをはじめ世界各地に旅立っていった。もちろん、なにもかもすべて自分で判断し、責任を負う、自由旅行である。

バックパッカーは減ってきているといわれるが、個人で自由に旅をするというスタイルは、この時代を通して一般化した。そして、ネットインフラの世界的な普及によって拡大していった。いまでは、若い層に限っていえば、ツアーよりも個人旅行のほうが多くなっている。

JTB総合研究所が、2016年に海外旅行に出かけた人の旅行形態を調査している。これによると、15~29歳の女性の場合、53.8%がフリープラン・自由行動タイプのツアーだという。ツアーといってもおもに航空券とホテルだけで、観光などはついていないものだ。15~29歳の男性は44.9%だ。

また航空券だけを購入して旅に出る人々や、航空券とホテルをネットで予約・購入して旅立つタイプの個人旅行は、30代男性で34・4%、40代男性で53・3%、30代女性で41・5%、40代女性で45・9%となる。

いまや多くの人が、個人で旅をしていることがわかる。

しかし、こと60歳以上に限ってみると、ツアーの割合が一気に増える。日本から、あるいは現地到着後にガイドが同行し、食事や観光などがすべてセットになったパッケージツアーで旅行する人の割合は、60歳以上の男性で40.2%。60歳以上の女性で38.8%。個人旅行を上回っているのだ。

これには、さまざまな理由が考えられる。持病があるなど健康面の不安を持つ人は、添乗員のいるツアーが最も安心かもしれない。経験がない人には、個人で旅することへの抵抗もあるだろうし、個人旅行は行き当たりばったりで危険だという警戒心もあるように思う。

リトアニア最大の巡礼地とされる十字架の丘(写真:Sanna)

せっかくだから「月単位」で

シニアにとって、海外個人旅行は不向きなのだろうか?

そんなことは断じてない。全体から見るとまだ少数かもしれないが、海外を単身、自由に旅しているシニアはたくさんいる。もちろん、若いバックパッカーのような体力任せの旅行をしているわけではない。体力の代わりに知恵を使い、創意工夫をして、世界を無理なく歩いているのだ。

バックパッカーではなく、泊まるところや交通手段などもいくらかグレードを上げて、快適さと予算とのバランスを年齢相応のものにしていく。

それがシニア世代に最も合った旅行スタイルだと思うのだ。

自由旅行こそ、シニア向けなのである。先に述べたように、ツアーは慌ただしい。とにかく忙しく名所とレストランと土産物屋を行き来するものも多い。だからどうしても印象が薄くなる。せっかくの旅なのに、どこで何を見て何を食べたのか、あまり覚えていないこともある。添乗員のいる安心感はあるが、非常に疲れる。

その点、自由旅行の時間はすべて自分のもの。自分のペースで、好きな場所に行けばいい。好きな時間に起きて、行きたい場所に行き(あるいはどこにも行かず)、見たいものを見て、ゆったりと過ごす。そうして一歩一歩を刻むように旅すれば、ひとつひとつのできごとが鮮烈に記憶に残るだろう。

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/