石原さとみ主演作は裏切らない!今年の「夏ドラマ」を一気読み

『この世界の片隅に』も期待大
堀井 憲一郎 プロフィール

『おっさんずラブ』はやっぱりすごかった

そのほかのドラマは、落ち着くところに落ち着いていたようにおもう。

最初から大がかりなコントのように展開していた『コンフィデンスマンJP』は、そのまま突っ走って映画化を告知して終わった。たしかにこういう無駄に大がかりで明るい話は、2時間でコンパクトにまとめて映画にするのがいいよなあ、というのがドラマ全部を見たあとの感想である。

『正義のセ』は、主人公の懸命な検事生活が続いていくことだろうし、『花のち晴れ』はやはり最初に対立していた男女が最後に仲良くなって終わった。よかった。『崖っぷちホテル』は崖っぷち状態のホテルが建て直され、それを救った男は去っていった。『Missデビル』は主人公の活躍で会社が正しく建て直された。

最初に予想されたように、きれいにおさまっていった。

 

今のドラマは、最初に予想されたようにきれいに展開してきれいに終わるか、途中、予想外の展開を見せて意外さで引っ張っていくけれど、最後はちょっとばらけてしまうのか、どちらかになるのが多いようだ。

『あなたには帰る家がある』も、途中、どろどろの男女関係になり、破綻につきすすむのかとおもいきや、意外にも、二つの夫婦はだいたいもとの鞘に収まり、主人公夫婦は、もとどおりではないにしても、適当な距離をおいての付き合いが始まるという終わりだった。

これは無理に区分けするならホームドラマの変形だったことになる。べつに無理に区分けする必要はないんだが。想像していたものではなかったというおもしろさはあったけれど、話そのものはわくわくするものでもなかった。恋愛ドラマとしては、パターンどおりながらも敵役のしっかりしていた『花のち晴れ』のほうがよかったとおもう。

このクールを代表するドラマは『おっさんずラブ』だった。静かな社会現象、ぐらいの盛り上がりを見せた。恋愛ドラマのおもしろさは、好きや嫌いに感情移入するところにはなく、その関係性の交錯にある、とあらためて認識させられた。

漫画の世界ではずいぶん前から提案されていた方向であるが、それが23時すぎとはいえ、テレビドラマで展開されたのは、画期的であった。そういう意味で、ドラマ史に残る一作であった。

そして7月からの暑い時期のドラマも始まる。

7月始まりだけは、期首や年始ではないので、何のイベントもないまますっと入っていく。知らないあいだにすっと始まる。だから、あまりヒット作が生まれない印象がある(あくまで印象)。

どのドラマを見ればいいのか。ちょっとピックアップしてみる。

ただ事前情報だけでは細かい意図が読み切れない場合があって、予想をはずしてしまうことがあるが(たとえば前クールは、おっさんずラブについては、一部では注目されるとはおもっていたが、ここまで大きく受け入れられるとは予想できなかった)、力の入れ具合はわかる。