危険なのは「くう・ねる・みずあそび」の時間

場面ごとでみると、もっとも多いのは0〜1歳の赤ちゃんの「睡眠中」(午睡=お昼寝中をはじめ、夜の睡眠中も含む)です。死亡事故の約7割が、この「睡眠中」に起きています。その次に多いのが1〜2歳児の「食事中」です。「食事」にはおやつも含まれます。食べているものを喉に詰まらせて窒息することが多いのです。もうひとつ多いのがプールなどでの「水遊び中」の死亡事故で、3歳以上で多く起きています。

これらの死亡事故が相次いでいる場面について、Safe kids Japan代表で小児科医の山中龍宏先生は「くう・ねる・みずあそび」という言葉で注意喚起しています。たとえば最も事故が多い「ねる」の場面では、部屋の中を真っ暗にせず、顔の表情が見えるくらいの明るさで寝せることが重要です。もし、見学に行った園で、遮光カーテンで部屋の中を真っ暗にして午睡させているようだったら、睡眠中の死亡事故が多いことを知らないのかもしれないと疑った方が良いかもしれません。

また「くう」の場面では、子どもの口に入って喉に詰まりやすい食べ物やおもちゃなどが、提供されていないことが重要です。時間にゆとりをもたせてゆっくりと、水分をとりながら食べさせることが大切です。年末年始に、お年寄りがお餅を喉に詰まらせて亡くなる事故はよく報道されますが、同じように小さな子どもにとっても食べ物の飲み込み(嚥下)は、生命に関係することです。保護者は子どもがどのようなものを食べられるか、きちんと飲み込みができているかどうかを確認して、保育者と共有しておくことが必要です。

楽しい給食やおやつでも、水分をきちんと取らせているか、きちんと嚥下できるかなど、心配は尽きない。目配りが届くよう、保育士の数と子どもの数のバランスがとても大切だ Photo by iStock

「みずあそび」の事故は主に3歳以上の子どもに起きていますが、これまでには満1歳の子どもが園庭にある排水溝に顔を入れてしまい、意識不明になった事例もあります。10cm以上の深さがあれば、水は容易に子どもの生命を奪うことを覚えておきたいものです。2011年には神奈川県大和市の幼稚園の水深20cmのプールで、3歳の子どもが亡くなった事故も起きています。

その事故以来、幼稚園・保育園・こども園でのプール遊びでは、必ず「監視」をする人を2人以上つけることが定められています。もし、園の人員配置がギリギリで「監視」する人を置けない場合には、プール遊びは中止することになるでしょう。川遊びなど、自然の中での水遊びにはプール遊びよりもさらに多くの危険があります。水深が浅くても、上流でゲリラ豪雨が降れば水位が急上昇する可能性もあります。

2012年7月20日、愛媛県西条市の加茂川で、幼稚園のお泊まり保育中に、5歳の男の子が急に増えた川の水に流されて亡くなった痛ましい事故も起きています。「うちは毎年ここでやっているけれど、何もなかったから」という慢心から、幼稚園教諭たちは下見もおろそかにし、お泊まり保育前日と当日の午前中の大雨の情報も得ていませんでした。また、子どもたちはライフジャケットも着けずに活動させられていました。

自然の中で「今まで何もなかった」のは、ただラッキーな偶然が続いていただけに過ぎません。そういった危険を伴う行事を行うのであれば、必ず下見や事前準備を行い、確実にライフジャケットを付けることが必要です。園でそのような行事がある場合には、どのような準備をしているのか、保護者も知っておくべきでしょう。