〔PHOTO〕gettyimages

元衆院議員が明かす「選挙とカネ」の語られざる闇

細野豪志5千万円借入報道を受けて

日本の政治・選挙とカネ

「当時、希望の党を設立し、どう運営していくかについて様々考えなくてはならない立場だった。政党助成金は4月まで入ってこない。何らか考えておかなければならない意識があった」

6月27日の朝日新聞の朝刊1面で東京の証券会社から選挙中に5000万円受領したものの、公職選挙法に基づく報告も、資産報告も行なっていなかったことに関し、細野豪志衆議院議員はこう釈明した。

この5000万円が選挙資金であれば、借入金であっても公職選挙法に基づき報告義務があるが、細野氏はあくまで個人的な貸し借りとし「なし」としていた資産報告書の借入金を5000万円と訂正、5000万円はその後証券会社に返却された。

細野豪志と5000万円渡した業者をつないだ『有名タニマチ』の名前」によれば、JC証券の田村謙治取締役は選挙資金等ではないかとの疑念に関して、こう説明している。

「昨年10月19日、細野氏に5000万円を貸し付け、今年4月9日に返済を受けているのは事実です。貸し付けは銀行振り込みで行なっており、翌月には関東財務局に報告しており、裏ガネの要素はありません。

また19日といえば投票日(22日)の3日前であり、選挙資金でもない。少し遅れましたが、昨年12月に契約書を作成しており、証券監視委の指摘を受けた返済というわけではありません」

その田村氏も貸し付けを行なった日は希望の党の候補者として選挙戦最終盤を闘っていた。

 

2017年10月の衆院選は、「金」という点でもイレギュラーな選挙だった。

個人献金による豊富な資金力を誇ってきた細野氏でも、無所属となったことで1500〜2000万円といった単位の政党の公認料や交付金がなくなり、これはあくまで仮定だが、今まで県連組織等で手当てできてきた部分も融通が効かなくなるとするならば台所事情は厳しくないはずはない。少なくとも今まで自動的に入ってきていた部分がないのだから。

一方で、新政党のリーダーとしては、特に、自らが誘った仲間たちの資金繰り等の相談にも乗ることもあったであろう。場合によっては何らかの方法での手当も考慮、検討することもあったかもしれない。

「どう運営していくかについて様々考えなくてはならない立場だった」というのはそういうことだろう。そう考えるとむしろ、予備費としても5000万円では心もとなかったかもしれなないなどと、いらぬ心配をしてしまう。

〔PHOTO〕iStock

筆者は2017年10月の衆議院の選挙がいかに異例であったかを「候補者リセット」「公認料」等の側面から検証・総括し「候補者たちの闘争」と題して今秋岩波書店から出版する予定で執筆を進めている。

既にその一部を『世界』(岩波書店)5月号・6月号で2度に渡って連載したが、まさにそこでの主題は「選挙と金」だ。

結局、選挙における金の入と出の事情がわからないと、あの選挙、そしてその後の政治状況を十分に把握することはできない。

報道機関はもちろん、一般の有権者も政治家の金の出入りを知りたければ公職選挙法に基づいた政治資金収支報告書等もしくは政治家個人の資産報告にアクセスすることによって得ることができる。しかしそこに記載されない様々な闇があることは誰もが薄々感じている。

その疑念を払拭し、「忖度政治」を廃し、まっとうな政治文化を根付かせるためにも、公開の原則と透明性の確保が求められるが、それは政治家の誠実によってのみ担保されるのだ。

今回、細野氏に関する報道が大きく取り上げられたのは、ある意味細野氏が怪しい政治献金を受けとったり、不誠実な報告書を出したりするはずがないという信頼感とのギャップがあったからこそかもしれない。