高体連が隠蔽した「第2の日大タックル事件」衝撃映像を公開!

インターハイ出場を懸けた決勝戦で…
角岡 伸彦

最初から狙われていた?

謝罪と厳重注意でおさめてほしい―大阪高体連は桃高側にそう伝えたが、納得がいかなかったため、当初はこれを拒否。最終的には大阪高体連による公正な裁定の実施を条件に、熊取選手の謝罪を受け入れた。早期の謝罪は、日大問題から得た教訓だろう。両選手が納得しているかはともかく―。

実は桃高側には、熊取選手のプレーは偶然当たったものではないという確信があった。

試合前日。浪商のハンドボール部員が、桃高の阿倍選手を名指しした上で「つぶす」「殺す」などと発言した内容を含むインスタグラムの動画を上げている―。その情報が他校の生徒から、桃高のハンドボール部員に伝えられた。

 

桃高の部員が見たときには既に削除されていたが、別のアカウントで、阿倍選手の名前は挙げていないものの、浪商の部員がインタビュー形式で「明日の試合は?」「ぶっ殺す!」「あいつや」「あいつですね」とやりとりしていた動画を確認・保存できた。筆者も見た。おふざけ映像ではあるが、度が過ぎる内容だった。

それとは別に、決勝戦の前日、浪商のハンドボール部員が桃高のハンドボール部員に、桃高の阿倍選手を名指しした上で「殺すか」「やっちまいましょう」などと書かれた浪商のグループラインを見せた。桃高の部員の「今度は勝つぞ」といった内容のツイッターを引用した上での呼びかけだった。

2人は同じ中学を卒業したばかりの1年生で、ライバル校同士ではあったが「こんなのがある」と浪商の部員が同窓のよしみで桃高の部員に見せたことから発覚した。

これらのSNS上での浪商チームによる阿倍選手への攻撃計画は、試合前に桃高の選手や一部の保護者の間で話題になっていた。それだけに桃高の関係者は、心配しながら決勝戦を見守っていたのである。

名指しされ、攻撃目標になっていた桃高の阿倍選手は、決勝戦で同高が獲得した28点のうち、3分の1以上の10点を入れたポイントゲッターだった。それゆえに狙われたのではないか、と桃高の関係者は見ている。日大アメフト部の部員が、定期戦で関学の攻撃の要であるクォーターバックに危険なタックルをしたのと同じ構図である。

決勝戦の前半でも、インスタグラムで「ぶっ殺す!」と予告していた浪商の選手が、桃高の阿倍選手の首に手を回すラフプレーがあった。このプレーも審判の目には触れず、反則をとられていない。審判が見えない(見ていない)ところでの、同一選手へのひじ打ちや首を抱え込むプレーは、偶然には起きない。「阿倍に対する当たりは全体的に厳しかった。やはり狙われていたと思います」と桃高の関係者は指摘する。

決勝戦から3日後の13日。大阪高体連の緊急常任委員会が開かれた。常任委員会は公私立高のハンドボール部の監督など約30人で構成されている。

試合当日の問題のシーンを全員で見たあと、レフェリーを束ねる審判長が、当該プレーについては、ベンチを去らなければならないレッドカード(失格)か、それより重いブルーカード(失格の上、報告書を提出)に相当すると指摘した。偶然ではなく、故意であることを認めたようなものである。

高体連は、まずは悪質な行為を見逃した2人の審判、それにコート外の運営役員の計5人に対する厳重注意、そして熊取選手への教育的指導が妥当とする処分を提案した(後に常任委員の意見を受け入れ、浪商の監督への厳重注意も加わった)。