「ロリータ」と「ロリコン」は全くの別物です、ていうか敵です

世界で大人気のロリータモデルが物申す
青木 美沙子 プロフィール

ロリータは食わねどパニエパニエパニエ

ロリータ服は、ただカワイイカワイイっていうものではありません。ずばり、暑いし不便。それでも着るし着たいと思うのは、カワイイの魔力です。

ロリータの聖地といえば原宿ですが、わたしの家は船橋という、原宿に比べるとカワイイが控えめな場所にあります。家から原宿までの道のりは、なかなか遠いです。

ロリータのドレスやスカートの下には、パニエと呼ばれるものを穿き、スカートをふんわりさせるのですが、船橋から原宿行きの電車の混みあうような時間帯のときは、他の乗客の方の迷惑にならないよう、パニエを脱いでスカートのふくらみを押さえたりします。それでも駅についたら、パニエをまた履きます。場合によっては二枚、三枚と重ねて履きます。

パニエを穿いてスカートをふんわりさせる(写真:著者提供)

想像して下さい。この季節。何枚もパニエを重ねてその上にドレスを着ている姿を。暑い。でも、カワイイのです。カワイイので、やるしかないのです。

暑くても寒くても悲しくてもお腹が減っていても、カワイイからロリータ。ロリータのあの白いレースと淡いピンクのリボンをみると、カワイイの言葉が心からふんわり浮き上がります。カワイイとつぶやくと、心地よい温かみが身体を包んで、お腹からぽかぽかしてきます。ほっぺたが、ふんわりバラ色になるのを感じます。

一度カワイイの魔法がかかると、ずっとカワイイでいたくなります。背筋も伸びるし足もだらしなく開かずに閉じます。レース、リボン、フリル。カワイイ。これは呪文です。

わたしは今、ロリータモデルとして週に一度は海外に行きますが、どこでもカワイイの魔法は効きます。カワイイ。かわいい。Kawaii。可爱。それぞれの言語でのなまりはあるものの、カワイイの日本語は万国共通です。世界が認めた魔法です。だから東京オリンピックに出たいのです(関係者の方々、よろしくお願いします)。

ここまで熱弁しても、ロリータは日本文化じゃない!と、否定的に考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。実際にロリータ姿で船橋を歩いていると、前科もないのに、たまに説教されることがあります。

先入観なしに、柔らかく考えてみると、ロリータはお着物と同じようなものです。お着物が大体千年として、ロリータが40年くらいでしょうか(詳しくはウィキペディア以下略)。

どちらも、もしかするとルーツは日本ではないかもしれませんが、日本にやってきて独自の文化として開花したものです。着るものとして不自由な面もあるけれど、ただの服を超えて、アートや文化になっています。

 

もうちょっと喋ってしまうと、実は最近、ロリータ=サムライ説を提唱しています。というのも、こんな言葉を知ったからなのです。

【武士は食わねど高楊枝】。これは、武士たるものは、お腹が空いていても、ご飯を食べたときのように楊枝をくわえて堂々と歩こうぜ、という意味です。良い意味でも悪い意味でも使われる慣用句らしいですけど、これって、ロリータ道と同じです。

ロリータも、暑くてもお金が無くても、原宿でも船橋でも、ドレスの下にはパニエを履いてカワイイでいようとします。武士は食わねど、高楊枝。ロリータは食わねど、パニエパニエパニエ。ということはやっぱり、ロリータって、日本を代表するカルチャーなのです。

それでは、みなさま、ごきげんよう。

青木美沙子(あおき・みさこ)ロリータモデル。外務省よりカワイイ大使に任命され、ロリータファッション代表として文化外交にて25か国45都市歴訪し、ロリータファッション第一人者として活動中。2013年2月日本ロリータ協会を設立し、日本ロリータ協会会長を務める。食を発信する動画が海外から注目を集め、700万再生を突破するものも!! 数々のロリータファッション誌で表紙を飾るほか、自身の書籍も出版している。現役看護師としても働いている。