つくばエクスプレスに子育てファミリーが「民族大移動中」の不思議

一体なぜ…?
現代ビジネス編集部 プロフィール

「教育と文化の街、柏の葉」のブランド力

柏の葉キャンパス駅西口。右端の建物が東京大学の駅前サテライト。三井ガーデンホテルを挟んで、買い物客で賑わう「ららぽーと柏の葉」
東京大学柏の葉キャンパスのメインゲート。学会なのか、研究者らしい人たちの姿が多く見受けられた

最後に訪れたのは、千葉県内で区間快速が停まる最後の駅「柏の葉キャンパス」。三井不動産の「柏ゴルフ倶楽部」跡地を再開発してできたニュータウンの入り口にある。駅名は、再開発で誕生した県立柏の葉公園、東京大学柏キャンパスに由来する。

駅を出るとすぐに大型商業施設「ららぽーと柏の葉」があり、周辺は多くの人で賑わっているが、ここまで訪ねた他の駅とは間違いなく異なる、静かで知的な雰囲気が街に満ちている。駅の東側に隣接する「パークシティ柏の葉キャンパス一番街」を歩いていた子連れのお母さんに聞いた。

「教育環境に重点を置いた街というコンセプトに惹かれて、この辺りのタワーマンションが完成したほぼ10年前に都内から移ってきました。一番街に住んでいる人のほとんどは都内からの移住組ですね。駅前にある東大のサテライトキャンパスでは子どもたちにプログラミングを教えてくれたり、徒歩圏内のTSUTAYAではイベントもひんぱんに行われていて、まさに文化と教育の街。私も含めて、皆さん住環境には満足されていると思います」

蔦屋書店を中核とする生活提案型商業施設「T-SITE」。アウトドアショップから飲食店まで、一日中いても飽きない
「パークシティ柏の葉キャンパス二番街」のタワーマンション「ザ・ゲートタワー」(2016年築)
「二番街」で取材に応じてくれた子連れのお母さんたち。街の人気が高まり、保育環境は厳しくなってきているとか

駅の西側にある「パークシティ柏の葉キャンパス二番街」でも、子どもを公園で遊ばせているお母さんに聞いてみた。

「こちら側のマンションが竣工したのは6年ほど前。最近、街に子どもが増えていて、保育園の一時預かりサービスが大混雑なんです。二番街には教育の街の雰囲気はあんまりないですね。一番街のおかげで『柏の葉ブランド』の価値が高まって、その人気に引き寄せられて集まってきた人たちが二番街に住んでいる、個人的にはそんなイメージを持ってます」

一番街の南、駅から徒歩4分ほどのところには、新たなタワーマンション(20階建て+10階建て+商業施設)「パークシティ柏の葉キャンパスサウスフロント」が竣工し、来年3月にも入居が始まる。予定最多販売価格帯は4900万円台と強気の設定だ。郊外の家余りが問題視されるこの時代に、柏の葉はさらなる拡大を続けており、ここまで見てきたつくばエクスプレス沿線の人口爆発を象徴するエリアと言っていいだろう。

柏の葉キャンパス駅周辺の全貌を見渡す。千葉県と茨城県の県境エリアの風景とは思えない

首都圏では大きな人のうねりが起きている

我が国の2017年の出生数は2年連続100万人割れ。建築費の上昇で新築マンション価格は(1973年の調査開始以降)過去最高。中古マンションの価格も引きずられて高止まり中。

にもかかわらず、つくばエクスプレス沿線では間違いなく子育てファミリーが増えている。

都心までの通勤時間で比べたら不動産価格に割安感があるし、都内に比べて子育て環境に恵まれている、という説明にはもちろん説得力があるのだが、それにしてもこれほど大規模で集中的な移動を目の当たりにすると、驚きを禁じえない。

湾岸部や武蔵小杉に局地集中するタワーマンションもそうだが、首都圏では自分の生活圏だけ見ていると気づかない、大きな人のうねりや偏りが起きているようだ。人口がこれから2000万人、3000万人と減っていくなかで、人口が増加するエリアを「居住地」として選択するのは、不動産の資産性を維持する上でも1つの策となるかもしれない。