つくばエクスプレスに子育てファミリーが「民族大移動中」の不思議

一体なぜ…?
現代ビジネス編集部 プロフィール

人口減が続いていた街に続々と保育園が

何より驚かされたのは、商業施設とは反対側の南口すぐそばに広がる「やしお駅前公園」の光景を目にしたときだ。そこには、指折り数えるには余るほどたくさんの子連れお父さん、お母さんの姿が。

赤子を抱えた男性に聞いてみた。

「勤務先が秋葉原なので、わずか17分という便利さに惹かれて5年ほど前に引っ越してきました。買い物環境が充実している北千住にも、柏の葉にも近くて、気に入っています。この公園ができたのは3年ほど前ですが、こんなに子育てファミリーが増えたのはここ1年くらい、ごく最近のこと。あまりに急な変化で驚いてますよ」

八潮駅南口すぐにある「やしお駅前公園」。平日の日中も子連れファミリーの姿が目立つ

話を聞いているうちに新たにやってきたお母さん二人にも聞いた。

「隣の三郷市に両親が住んでいることもあり、東京都内から去年引っ越してきたばかりです。治安があまり良くなかった八潮市のイメージが強い母親は反対したのですが、購入したマンションも都内より断然安かったし、夫も都内への通勤が楽になり、駅周辺で何でも揃うので日々の生活にも満足しています」

「私も去年引っ越してきました。都内で保育園に入れるのは無理だと思ったので、妊娠したころから郊外や他県への引っ越しを、旦那と相談していたんです。八潮駅周辺では、今年の4月に新しい保育園が三つも同時に開園します。娘も申し込んだところに入ることができたので、無事に育休を抜けることができそう」

子育てファミリーの情報調査力はすごい。ただ、あまりの人気ぶりに早くも弊害が出てきているようだ。子どもを抱いてバスを待つお母さんが語ってくれた。

「子育て環境が良いと聞いて、2年前に引っ越してきました。便利だし、道路が広くて見通しがが良く、子どもを連れて歩いていても安心。ただ、肝心の認可保育園に落ちてしまって……。育休が明け、しばらくは実家の母親に助けてもらえそうですが、早く何とかしないと。保育園は確かに新設されたのですが、みんなが希望のところに入れる状況ではまったくありません」

八潮駅から徒歩8分という好立地に今年完成した大型分譲マンション「シティテラス八潮」

激戦は始まったばかりだ。八潮駅から徒歩8分という好立地に、大型分譲マンション「シティテラス八潮」(8階建、493戸)が完成。3LDK(70.02m2)で「2,980万〜、月々のお支払い6万円台〜」という強烈なインパクトで、絶賛販売中。こんな物件が次々出てくるようだと、子育てファミリーの転入はこれからも続くだろう。

田園地帯のど真ん中に突如としてマンション群が

三郷中央駅隣接のタワーマンション「ザ・ライオンズ三郷中央」。遠方からでも視認できる

隣りの「三郷中央」駅へ。遮るもののない広い空に、駅隣接のタワーマンション「ザ・ライオンズ三郷中央」(25階建、2012年築)が突出している。人工知能を活用したマンション価格推定サービス『家いくら?』を使って調べると、最上階の3LDK(77.13m2)で3,688万円と推測された。

最も目立つのはこのタワーだが、その周囲にここ数年次々と建設されたマンションの数には目を見張るものがある。駅そばに今年完成したばかりの「プレイズ三郷中央」(14階建)は最多価格帯3,600万円台(3LDK)だが、残り6戸(6月末時点)。徒歩5分の「シティハウス三郷中央ステーションコート」(8階建、2016年築)はすでに完売。

ほかにも、徒歩4分「ライフピア三郷中央」(14階建、2013年築)は最上階の3LDK(71.82m2)が3,147万円、徒歩5分「グランメディオ三郷中央」(14階建、2013年築)が最上階の3LDK(78.22m2)で3,280万円、徒歩2分「ヴィークコート三郷中央」(13階建、2013年築)の最上階3LDK(70.69m2)が3,162万円など、築浅のお手ごろ物件が集中する。

三郷中央駅前の「におどり公園」で花見を楽しむ近隣の子育てファミリー。ここだけが人口稠密エリアになっている

これだけのマンションが駅周辺に集まれば、人が増えるのも当然だ。桜の季節(取材は3月末)ということもあり、駅前の「におどり公園」では、少子化を疑いたくなるほど多くの子育てファミリーが花見を楽しんでいた。何人かに話を聞いてみた。

「夫は都内、私は筑波に通勤ということで、中間地点のこのあたりで決めました。八潮も考えたのですが、あちらは『工業地帯』のイメージが強いんです。三郷は『田園』。子どもが卒業するまでは住みたいので、イメージも大事にしました。子育てには良い環境だと感じていますが、三郷市は待機児童が多く、これから子育ての人は大変かも」

「関西からの転勤で松戸に引っ越してきて、自転車で何度か走ったら三郷が素敵だったので、思い切って一戸建てを買いました。まだ移ってきたばかりですが、子育て中のお母さんがこんなにたくさん街にいるなんて、正直驚いています」

クルマで数分走ると田園が広がる郊外駅の限定されたエリアに、これほどたくさんの子どもたちが育っているという事実。昭和のニュータウンブームもこんな感じだったのだろうか。