相続のルールが激変! 新設「配偶者居住権」で大損する人たち

知らないうちにルールがどんどん変わる
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無理して「配偶者居住権」を選ぶ必要はないんです

ここまで述べてきたとおり、居住権は「妻」には有利で、子どもに不利だ。だからこそ、友好な親子関係ができているなら、妻が「居住権」を持つことにメリットは多い。

とりわけ、夫が遺した資産に現金が少なく、妻が遺族年金で暮らすだけならば、民法改正の恩恵は大きいだろう。さらに子と同居しているならば、生活費や住宅にかかる費用もかからず、その死後はスムーズに子どものものとなる。

先の例のように、より多くの金融資産を相続できる。高齢になるとかかりつけ医や気のいい友達が自宅の近くにいることから、自宅を離れたくない人も多い。そういう妻にとっては所有権よりも居住権だろう。

特に、母より子が先に亡くなってしまうケースまで想定するとしたら、居住権の設定が有利だ。

「こんな例もありました。母親思いの息子さんが、老後の面倒をすべてみるからと、遺産をすべて息子が相続し、母親と一緒に暮らし始めました。

ところが息子さんのほうが先立ってしまった。息子さんの所有権はその妻と子どもに相続されるので、母親はその家に住む権利を一切失ってしまったのです。

嫁との関係が一気に悪化し、家を出て行かざるを得なくなった。居住権が設定できれば、追い出されることもありません」(前出・髙原氏)

 

一方、居住権には前述したような「争続」リスクがつきまとう。

「居住権は、死後の遺産分割協議でも設定できるが、生前に遺言を書いておけば、表だって揉めるリスクは減ります。設定するなら、生前に遺言を書いておくことを勧めます」(前出・江幡氏)

専門家たちは、無理に居住権を選ぶ必要はなく、「生前贈与」や「遺言」によって、所有権を妻が確保するほうがメリットは多いと言う。

家が遺産分割協議のトラブルになる理由は、残すか、売るかしかなく、分割することができないからだ。ならば、遺産分割の対象にしなければよいという選択肢を考えてみてはいかがだろうか。

「週刊現代」2018年7月14日号より