相続のルールが激変! 新設「配偶者居住権」で大損する人たち

知らないうちにルールがどんどん変わる
週刊現代 プロフィール

今国会で成立した、相続制度見直しの民法改正で、大場さんの悩みは、解決されるかもしれない。大場さんの妻は「配偶者居住権」という権利を持てることになるからだ。

配偶者居住権を使えば、子が自宅を相続しても、妻は一生住み続けることができる。

それどころか、仮に居住権の評価額が1000万円とすると、現預金1000万円のうち、半分の500万円も妻のものとすることができるというのである(ページ下の図参照)。

 

だが――この「配偶者居住権」を行使すると、思わぬ落とし穴がある。

以下はシミュレーションだ。大場さんは、新制度を使い、妻に居住権を与えることを遺言書に明記し、'20年、東京五輪の年に亡くなった。

それから1年。残念ながら残された妻と長男の関係はますます悪化してしまった。長男がことあるごとに母親にこう愚痴ったのである。

「この家を売ることができていれば、子どもの大学進学費にあてることができたのに。俺の所有権の1000万円分はもらえないままじゃないか。母さんが独り占めするなんて、ずるいよ」

肩身が狭いなんてものじゃない。冷たい嫁の視線を感じながら、妻は不安を抱えた生活を余儀なくされる。この先、孤独な一人暮らしを続け、誰が自身の介護を引き受けてくれるのか――。

相続に詳しい夢相続代表・曽根恵子氏が言う。

「これまで、夫の遺産を、妻と子どもたちが相続しようとすると、法定通りの相続では問題が起こりがちでした。家の売却を迫られたり、家を相続したとしても現金が残らず、妻が困窮したりというケースです。

これを是正しようとしたのが、配偶者居住権ですが、実態に即して考えると、妻を優遇しすぎて、かえって妻自身や子どもたちに負担がかかりそうなのです」