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ホームレスだったぼくが「お金」について知りたかったこと

連載ルポ:お金の正体①

作家・海猫沢めろんさんがお金にまつわる素朴な疑問を専門家にぶつけてまわる、魂の「お金ルポ」が始まります。誰もが使っているお金、それなくしては生きていけないお金……でもその正体をぼくらはどこまで知っているんだろう。初回はお金の起源から。

お金から自由になりたくて

いまから14年前の2004年。29歳のぼくは、ほぼすべての財産を失い途方に暮れていた。

小説家デビューしたまでは良かったが、印税が思いのほか少なく、「こいつを元手に大儲けしてやろう」と、株のデイトレードをはじめたところ、せっかちな性格と深く考えないスタイルが災いとなって、まったく勝てない。

株を売り買いしているうちに熱くなって、気づけば手元には数万しかなく、来月の家賃も払えない状態に陥っていた。

後悔したときにはもう遅い。

住む場所がなくなり、そこから何年かは友人の家を転々とする、文字通りホームレスの時期が続いた。

厳しい時期はクレジットカードで買った家電を転売したり街金融でやりくりしたが、フリーランスの身ではたいして借りられるわけもない。とはいえ、破産宣告を考えるほどでもないので、地道にアルバイトや原稿執筆で生活を立て直していった。

その後、安いシェアハウスで倹約しながら、数年かけて、なんとか生きていける程度にお金を稼げるようになった(とはいえ年収は100万ちょっとだった)。

冷静になって当時のことを思い出すと、正気を失っていたとしか思えない。

どうしてあんなガソリンの撒かれた駐車場でファイヤーダンスを踊るようなバカをやったのだろう。

ファイヤーダンスぼくは一体何をしていたんだろう…〔PHOTO〕iStock

ぼくはそもそも「株」が一体なんなのか、なぜ値段が上がったり下がったりするのか、未だに理解していない。

しかし、誰がぼくを笑えるだろう。

お金とは誰が、何を、どのように考えて作り出したのか。世の中のほとんどの人は、お金がいつどこで生まれて、なぜ必要なのかという問いに答えられない。わけがわからないまま「お金」を稼いで「お金」を使って死んでいく。

それでいいのだろうか。

ぼくは40歳をすぎていまさらながら、自分の人生にかかわる、この「お金」というものの正体を知りたくなった。

お金から自由になるために。

 

ビットコインを買ってしまった…

……とはいえ、「お金」について調べ始めると、つきまとうのはなにやら面倒なことばかりだ。

国家、市場、資本主義、マルクス、金融政策、マクロ経済、ミクロ経済、貨幣論、投資信託、ポートフォリオ……どれも素人が手を出したらとたんに怪我をしそうなキーワードばかりでうんざりする。

どこから手を付けるべきか。

ここはひとつ一番古いものと新しいものからはじめるのはどうだろう。

つまり、お金の起源と、新しいお金——仮想通貨だ。

というのも……実は先日、ぼくはビットコインを買ってしまったのだ。