米中貿易戦争のウラで、いま中国で起きている「ヤバすぎる現実」

もう限界…報道されない現場の悲鳴
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超高齢化社会・中国の末路

しかし、労働力不足はある程度、AI技術の発展によって補えたとしても、来る高齢社会への対処は、困難を極めるはずです。

国連の『世界人口予測2015年版』によれば、2050年の中国の60歳以上人口は、4億9802万人、80歳以上の人口は1億2143万人に上ります。

「私は還暦を超えました」という人が約5億人、「傘寿を超えました」という人が、現在の日本人の総人口とほぼ同数。まさに人類未体験の恐るべき高齢社会が、中国に到来するのです。

 

しかし現時点において、中国には介護保険もないし、国民健康保険すら、十分に整備されているとは言えません。そのため中国では、「未富先老」(未だ富まないのに先に老いていく)という嘆き節が流行語になっているほどです。

実はこの未曾有の高齢社会の到来こそが、未来の中国にとって、最大の問題となることは間違いありません。日本に遅れること約30年で、日本の10倍以上の規模で、少子高齢化の大波が襲ってくるのです。

そうした「老いてゆく中国」を横目に見ながら、虎視眈々とアジアの覇権を狙ってくるのが、インドです。インドは早くも6年後の2024年に、中国を抜いて世界一の人口大国になります。

しかも、2050年には中国より約3億人(2億9452万人)も人口が多くなるのです。15歳から59歳までの「労働人口」は、中国より3億3804万人も多い計算になります。

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2050年のインドは、中国と違って相変わらず若々しいままです。

つまり中国にしてみれば、21世紀に入ってようやく、長年目標にしてきた日本を抜き去ったと思いきや、すぐにインドという巨大な強敵を目の当たりにするのです。

中国は2049年に、建国100周年を迎えます。その時、「5億人の老人」が、しわくちゃの笑顔を見せているとは限らないのです。

近藤大介(こんどう・だいすけ)
中国・朝鮮半島取材をライフワークとする。25冊目の新著『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)が好評発売中

「週刊現代」2018年7月14日号より