そうだったのか!「キャビアはサメの卵じゃなかった」

フカヒレだけじゃない、サメ絶品グルメ
沼口 麻子, はな プロフィール

サメには浮袋がないんです。その代わりに海水よりも比重の軽い油を肝臓に貯えていて、浮力を補っているんですが、とくに深海ザメの肝油は、低温でも固まらないので、高度数千mで滑空するゼロ戦の潤滑油として最適だったと言われています。

ちなみに、サメの肝油は「スクアレン」が主成分ですが、化粧品としても重宝されています。あとは、サメの肝臓といえば、肝油ドロップもそうですよね。

はな あっ!「肝油ドロップ」。いまも駅などで売ってますよね。

沼口 はい、それも昔はサメの肝油を使っていましたが、いまは、合成して人工的に作れるようになったので、使ってないみたいです。昔はサメの肝臓も、食べるだけでなくいろんな用途で使われていたんですよ。

ゼラチン、ぷるぷる

はな いまは深海ザメの肝油はどんな風に使われているんですか?

沼口 いまはもう、深海サメの漁業自体がなくなっちゃったんですね。昔は深海サメを獲れば国が買い取ってくれたので、専門の漁師さんが、例えば静岡県の焼津にたくさんいたんですが、いまは一隻くらいだけでほかは廃業していると思います。

はな そういう状況だととても貴重なものなんですね。フカヒレの漁も同じような状況なんでしょうか?

 

沼口 今でも一部でフカヒレを獲るサメ漁は残っているんですが、昔ほど豊富にはサメが獲れないようです。

はな なるほど。フカヒレ以外の身の部分はどうやって食べるんですか?

沼口 熊本でいただいたのは、湯引きしたサメを酢味噌でいただくお料理でした。とてもさっぱりしていて、いくらでも食べられそうな箸が進む味でした。ほかにもいろいろなところで食べてきたんですが、その食レポも本書でまとめています。

新潟県上越市の年末のスーパーでは、お正月料理につかうサメ肉がずらりと並んでいた。『ほぼ命がけサメ図鑑』より

はな 歯ごたえはどうでした? 筋肉質なんですか?

沼口 サメ肉は淡白で、見た目も白身魚とほぼ変わらないんですが、プルンとしたゼラチンが乗っていておいしいし、さっぱりしているので食べていて飽きないんです。

しゃぶしゃぶ、お刺身、タツタ揚げ、煮物など、いろんなサメの郷土料理が食べられます。ちなみに東京だと千駄木にある『スパイスバル・コザブロ』でサメ肉を使ったカレーが食べられますよ。

そのお店ではアオザメが使われていますが、一般的に流通しているのは、ネズミザメとアブラツノザメですね。

はな 名前だけ聞くと、アブラツノザメのほうがなんだかおいしそうですね。

沼口 アブラツノザメは青森県や、北海道でよくとれます。背びれに角が生えているのが特徴で、体長約2mくらいまで大きくなるサメです。青森ではこれを蒲焼にしたり、「さめなます」といって酢の物にしたりして食べているそうです。

はな お肌によさそうですね。フカヒレと同じように、身の部分にもゼラチン質が多く含んでいるんですね。

沼口 はい。実はアブラツノサメは卵も食べられるんですよ。ピンポン玉くらいの大きさで、サメの卵と鶏卵を1対1の割合で混ぜてだし巻き卵を作ったときは、伊達巻のような濃厚な卵の味がしました。