NHKのお膝元・渋谷のスクランブル交差点では、今大会もサポーターが大いに盛り上がっていたが……(photo by gettyimages)

日本代表の活躍のウラでモヤモヤが残るNHKのW杯テーマソングの話

プロのミュージシャンが語る違和感
21世紀に入ってから、ワールドカップ、オリンピックが開催されるごとに、NHKがテーマソングをプロデュースするのが恒例となっている。これらの曲によって大会はより盛り上がり、紅白歌合戦で歌われたヒット曲もあり、大会の度にリバイバルする名曲もある。ところが、今回のテーマ曲には、「なんか盛り上がらねえなあ」と首を傾げてしまった。その違和感を、オリコンチャート1位を獲得したこともあるプロのミュージシャンにぶつけてみると「自分も疑問だらけだった」と、匿名を条件にその辺の事情を考察してくれた。

今までの大会とは違うテイスト…

6月19日。ロシアW杯、日本代表の初戦となるコロンビア戦をNHKで観ていて、驚いたことが2つあった。

1つは試合結果そのもの。もう1つは、ハーフタイムで聴いた今回のテーマソングである。

 

SuchmosがNHKホールで観客を前に今大会のテーマソング『VOLT-AGE』を披露していた。

歌詞でいうと、

「Chanting now~」

の部分、音楽的ブロックでいうとBメロだろうか、そこでビートが変化して「なるほど、ここからサビへ向かって『VOLT-AGE』上げていくんだな?」と音楽の作り手の端くれとして想像しながらそのときを待った。

しかしその後のブロックでビートはハーフへ逆戻り。

「あれ? まだ引っ張るのか?」と思って聴いていると、期待した盛り上がり部分は訪れることなく曲が終わった。一瞬映った客席がずいぶんとおとなしかったのが印象に残る。

「あのHeartbeatの部分がサビだったのか?」

急いで歌詞を確認する。もしや、サッカーを意識して作られたのではなく、既存楽曲を当てはめたか?と思ったからだ。だが、露骨な表現はないものの、「ピッチの上で」などのフレーズからして書き下ろしだと思われるし、メンバーもサッカーへの造詣が深いようでますます混乱する。

テーマソングというものは、コンペがあって競い合って採用されるか、アーティストにオファーがあって書きおろすかが一般的だろう。

おそらく今回は、NHKサイドからSuchmosへの楽曲オファーがあったはずだ。アーティストからすれば、日本中が注目するW杯のテーマソングはヒットを生むチャンスであることは言うまでもない。彼らはそれを十分わかった上で、『VOLT-AGE』をあの形で完成させた。大衆が求めるわかりやすい盛り上がりを捨てて。

改めてNHKのサイトでフル視聴してみたが、少なくとも今までの大会のように「求められる曲」とは違ったテイストだと思った。